「まるで人間そのもの!」AI駆動のマッサージロボット、米誌記者も感嘆の腕前
細やかさでは人間の勝利?
一方、ZDNETの女性記者は、ロッボトにマッサージされる感覚は「ちょっと変な気もした」と正直に告白。そのうえで、「不思議なことに、リラックスできた」とも述べている。アームは指というには太すぎるため、ポイントを外していると感じる場面もあったものの、「細かいディテールでは欠けている部分があるが、より広いリラックス体験がそれを補っている」との評価だ。 人間でないという点は、一部の人にとって逆に歓迎されることもありそうだ。エスケープ社の調査によると、見知らぬ他人に身体を触られることに抵抗がありマッサージを受けたことがないという人は、全米で1000万人ほどいると推定されるという。 AIマッサージロボの場合、なめらかな表面仕上げの特製のスーツを着ることで、裸になったりオイルを塗ったりする必要がない。気恥ずかしくてリラクゼーションから足が遠のいていたという人も、抵抗感を軽減する機会になるかもしれない。
AIロボは微調整をお願いしやすい
マッサージが始まると、ユーザーの顔の下に設置されたタブレットを通じ、好みの押し具合にカスタマイズできる。人間のマッサージ師相手では、つい遠慮して「強すぎる」「弱すぎる」など要望を伝えづらいこともあるが、こうした言いづらさを解消できそうだ。 マッサージロボはまた、個人の好みを記憶する。ボディの形状や、どのスポットを強く押してほしいか、マッサージ台のどの位置に横たわるクセがあるかなどを把握し、利用すればするほど個人に合った調整を重ねてゆく。 5000人以上の実際のユーザーでテストを重ね、安全性にも万全の配慮を行ったとエスケープ社は説明している。整形外科医やセラピストなどの協力を得て、各部にかけるべき圧力を入念に調整したという。
CEOもかつてひどい慢性痛に悩んでいた
エスケープ社は7年前の2017年、エリック・リトマンCEOによって設立された。ZDNETによると、当時のリトマン氏は、慢性的なひどい首と肩のこりに悩まされており、毎日のようにマッサージを受けなければ首も満足に動かせない日々が半年以上続いていた。ボタンひとつでいつでも利用できるマッサージ機があればどんなに良いかと思い、仲間と共に会社を立ち上げたという。 リトマン氏はフォーチュン誌の取材に対し、身体が左右対称に癒やされる体験は、ロボットならではだと強調する。「2本のアームで身体の両サイドに、均等な力を同時に加えます。セラピストの場合は左右どちらかに立ち、次に反対側に回って……となりますので」 料金は30分で60ドル(約9200円)と、現状はやや割高だ。まずはニューヨークのイクイノックス(Equinox)スポーツクラブで今春、10台が稼働する。エスケープ社は今後、より広いユーザー層にアピールできるよう、用意するオプションを変えてより幅広い価格帯を設けたいとしている。靱帯をほぐす、デスクワークから来る肩こりをケアするなど、特化型のメニューも計画されている。 まるで人間にマッサージを受けているような至極のAIマッサージロボに、より安価にかかれる日が来るかもしれない。
文:青葉やまと