首相、政倫審の弁明「新味なし」 野党「予算委と同じ」と指摘
「前例にとらわれないという決意の一つだ」。岸田文雄首相は29日、現職首相として初めて衆院政治倫理審査会に出席し、信頼回復に取り組む姿勢を強調した。しかし、弁明に新味はなく、質疑に臨んだ野党議員からは「予算委員会と同じ」「自民党の報告書をなぞっただけ」と厳しい指摘が相次いだ。野党側も攻め手を欠き、真相解明には程遠い結果となった。 首相は冒頭、政治資金パーティー裏金事件について「党総裁として心からおわび申し上げる」と頭を下げ、手元の原稿に目を落としながら事件の概要や党の調査結果を淡々と説明した。一方、自身が会長を務めた宏池会の不記載を「事務処理上の疎漏」と表現。「裏金」という言葉を使うことはなかった。 立憲民主党の野田佳彦氏は、公開の在り方などを巡り混乱したことを「首相の指導力の問題だ」と批判。首相は、政倫審を欠席した鳩山由紀夫民主党代表(当時)を引き合いに「出席も形式も本人の意志を尊重するものだ」と反論した。
野田氏は記者団に「首相の出席はポーズだけ。相変わらずはぐらかしているなと思う」と語った。