柔道・野村忠宏の引退会見全文5「もう本当に反応です」
柔道・野村忠宏の引退会見全文5「もう本当に反応です」 THEPAGE大阪
31日に行われた柔道・野村忠宏の引退会見。約2時間の会見では様々な質問が飛んだが、終盤ではシドニー五輪の時に金メダルに輝いた瞬間のことを振り返るなどした。そして、育ててくれた両親、家族への感謝の気持ちを述べ、最後は「ありがとうございました」と一礼して会見場を去っていった。 サンデー毎日:柔道人生論を話されてるときに、場面だけ切り取って申し訳ないんですけど、ご自身で一番印象に残っているのは背負い投げじゃなくて、シドニー五輪のときの、確か韓国選手だったか、引き落としか隅落としみたいな、不思議なすごい技があったんですけど。あれってやっぱりどんなふうに覚えておられますか。まさにさっきおっしゃってた、組み立てて持っていくというよりも、反応そのものだったっていうか、鍛えられた中の反応だったっていうような感じはしたんですけど。 野村:そうですね。はい。 サンデー毎日:どんなふうに、今も覚えてる、もう14年も前ですけど。10年か。 野村:そうですね。もう本当に反応です。自分はもう子供のときから体が小さかったけども、もうね、相手が強かろうが相手が大きかろうが、やっぱり真っ正面から組む柔道。それで、技に入ったときには最後まで投げ切る。もし投げられそうなときに、よく言うのは練習なんだから投げられてもいいよ、だから思い切ってやりなさいとよく言われるんですけど、自分は弱かったくせに練習でも投げられるのはすごい嫌だったんです。だからもう投げられそうになったら、もう相手にしがみついてでも投げられないようにしたし。 そういう稽古を積み重ねる中で、本当に時間はかかったけど、相手と組むことで、例えば投げられそうになったときに、どういうふうに体をひねれば投げられないか。もう体、本当に投げられたとしても、もう最低限どういうふうに反応すれば、こう、このままいけば1本だけども、こういうふうに体をひねったり、こういう対処をすれば最低有効にっていうのがね。体の身体感覚として、反応できるようなったんです。 その中で、相手の体重とバランスとかっていうのを感じれるようになったし、今、相手をどういうふうに崩せば、一番効率的に投げられるか。そういうの全てこう感じられるようになってきて、そういうのを、究極の技があの技で。はい。