井上尚弥の“クビ”狙い黄金バンタム戦線が活況。WBO王者テテが「来年に井上と対戦できる可能性がある」と発言
計量失格の失態を犯した元WBC世界バンタム級王者、ルイス・ネリ(メキシコ)がWBCのバンタム級の指名挑戦者(ランキング)から外されることが明らかになった。ESPNのメキシコ版など複数の米国メディアが報じたもの。指名挑戦者からの除外はイコールランキングから外されることを意味する。これで指名試合が義務づけられていたWBC世界同級王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)の次戦は選択試合となり自由に対戦相手を選べることになった。WBA世界同級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(大橋)が希望するウーバーリ戦が実現可能となったが、30日に統一戦を行うWBO世界同級王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)が、井上戦を熱望。またWBSSの決勝で井上と激闘を演じた元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)が、井上との再戦を実現するため、ネリの後釜としてWBCのベルトに照準を絞るなど、井上への挑戦権を巡って黄金のバンタム級戦線が活気を帯びてきた。
”悪童”ネリはWBCバンタム級のランキングを外れる
“悪童”ネリは、WBC世界ヘビー級タイトル戦(ワイルダー対オルティス)の前座でWBC世界バンタム級王座への指名挑戦者決定戦として元IBF世界同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦予定だったが、前日計量で1ポンド(約450グラム)オーバーとなり、1時間の猶予で体重を落とすことを拒絶し失格となった。ロドリゲス側はファイトマネーを上積みしての試合強行を持ち掛けられたが、これを拒否。注目の試合は中止となった。 ESPNのメキシコ版は、WBCのマウリシオ・スライマン会長の「ネリは減量に関する栄養法のプログラムを受けていたはずだが何が起きたのか。我々はスーパーバンタム級かフェザー級への転向を勧告している」というコメントを紹介し「WBCがロドリゲスとの対戦で計量を通過できなかったネリがバンタム級の指名挑戦者ではなくなったことを決定した」と報じた。 ボクシング専門サイトの「ボクシング・シーン」は「この決定により、WBC世界バンタム級王者のウーバーリが次戦で自由に選んだ相手と対戦できる」とも伝えた。 同級暫定王者だった井上拓真(大橋)との統一戦を判定で制したウーバーリは次戦で、このネリ対ロドリゲスとの勝者と指名試合を行わねばならなかったが、試合が中止になったことで指名試合は、次々戦に回され、次戦は選択試合となったのである。 井上尚弥はWBSS決勝後にリング上で「次はウーバーリとやりたい。弟の仇を討つ」と宣言していた。形の上ではウーバーリ戦の実現が可能になった。ウーバーリも「井上との試合はウエルカム。やるならオレが勝つ」と統一戦を熱望している。 だが、世界有数のプロモート会社のトップランク社と契約した井上の次戦は、米国ラスベガスで行われることになっており、そのマッチメイクの主導権はトップランク社が握っている。米マーケットでは、ほぼ無名のウーバーリを井上の希望に沿って選ぶかどうかは微妙だ。 むしろ有力なのは”11秒KO”の世界最速記録を持つWBO世界同級王者テテとの王座統一戦。30日の暫定王者、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)との統一戦を控え、英国バーミンガム入りしているそのテテは井上へ対戦ラブコールを送ってきた。