改正地方自治法に注文 和歌山知事「地方分権の流れに逆行」
大規模災害や感染症などの非常時に自治体への国の指示権を拡大する「改正地方自治法」について、和歌山県の岸本周平知事は2日、定例記者会見で「地方分権の流れに逆行する。国と自治体が協力者としてやっていける運営を望みたい」などと問題点を指摘した。 改正法は先月の国会で成立し、9月下旬にも施行される。国の指示権は、災害対策基本法など個別の法律に規定がある場合に限られていた。改正法は個別法に規定がなくても国が国民の生命保護のために「特に必要」と判断した場合、閣議決定で、自治体に必要な対策の実施を指示できる。 岸本知事は「感染症や災害時に統一的な行動ができないと困るということはわかる」と一定の理解を示したが、「(改正法では)都道府県知事に資料、意見の提出を求めることが『できる』との規定で、義務規定でない。本来は『ねばならない』だ」と、国は必ず知事の意見を聞くべきだと主張。「法の運用では、都道府県や市町村が(国と)上下の関係ではなく、協力者としてやっていくことを望む」と注文した。 新型コロナウイルス感染拡大の際に国が当初「全数検査をするな」と指示した例を示し、「『政府が間違うことがある』ことを踏まえないといけない。正しくない指示を得たときにどうするかを考えていかなければならない」と述べた。