夏の風物詩、今年もなんばグランド花月で「桂文珍独演会」開催/大阪
私が88になるまでできればいいな
自身の演目についてもそれぞれ解説した。「萬両」は、「お文さん」という噺をベースに独自にアレンジしたもの。「女性が輝く国を作らないかんと言うてるわりには、時代には合いにくいところがありますので、それを少し骨を入れ替え、ちょっと肉付けをいたしまして。新しい世界ができれば面白いかなということですね」 「最後は、『御血脈』(古典落語)という噺ですけど、入れごとがいっぱいできますんで、血脈の印を押してもらうと、みんな極楽へ行く、地獄には誰もおらんようになる。困ったちゅうんで、閻魔さんが、議会を開くんですけれども、カラ出張してる奴とか、それから人を娑婆の方へ派遣ということですけど……今っぽいギャグをいっぱい入れられますんで、付かず離れずのニュートラルな感覚から笑い飛ばしていく。なおかつ上方、大阪ですから、そこにふんだんにお囃子を入れまして、ミニ版の『地獄八景』のような感じになっています」 また、同会の名前にちなみ、「8月の8日、私が88になるまでできればいいな」と、とてつもない目標を語った文珍。「20数年やると88(歳)、55回目の88独演会で、88歳になるわけですから……そんな計算を先ほどして頭、痛なったんですけど(笑い)。今年もたくさんの方に楽しんで頂きたいと思っております」 そう締めくくったが、文珍ならではの独自の世界観で大いに笑わせてくれそうだ。 (文責 フリーライター・北代靖典)