オンライン資格確認訴訟が結審 医師ら義務化の違法を訴え
医療DXが本末転倒に
9月19日の弁論終了後、原告団事務局長で東京保険医協会理事を務める佐藤一樹さんは、記者会見で「判決までの2カ月間で、やるべきことがある」と述べ、①マイナ保険証を持っていない人に対して、10月から始まる資格確認書の交付を徹底させること、②マイナ保険証を誤って作ってしまった人、作りたくないのに作ってしまった人は、10月からマイナ保険証の登録の解除ができることを周知することの2点を挙げた。 また、原告団長で東京保険医協会会長の須田昭夫さんは「医療DX(※)とは本来、作業を単純にして、間違いを減らし、経済的に行なうこと」だと指摘。そのうえで「それが作業が複雑になって、間違いだらけで、莫大な費用がかかっている。これはDXの名に値せず、認めるわけにはいかない。日本が今、世界に対して誇れるのは、国民の長寿だ。誰でもどこでもいつでも、平等な医療を受けられるという、戦後民主主義の一番大きな成果ではないかと思う。この成果をマイナ保険証という形で破壊してしまうことは、絶対にさせてはいけない。マイナ保険証の目的は、国民のデータを集めて、どうやったら医療費が減るかを計算すること。納付した金額と受給した金額とのバランスを取っていく。納付の少ない人の医療は差別していく、そういう世界にしていこうとしている」と語った。 弁護団の喜田村洋一弁護士は「結審は予想していたが、実際に判決の言い渡しの日がいつになるかが一番の関心事だった。12月に一番近い時に大法廷でやるということを裁判所が決めていたわけだから、少なくとも我々の訴えに対し、真摯に検討して、法律と憲法に基づいた判決が出されるものだと確信している」と期待を込めた。 ※DX=デジタルトランスフォーメーション
竪場勝司・ライター