定年退職後、「働かずに年金収入だけで暮らす」のは少数派でしょうか? 周囲は高年齢まで仕事を続けています。
できるものなら、定年退職後は働かずに年金収入だけで暮らすことを理想とする人もいるのではないでしょうか。 しかし、元気なうちは働いていたほうが収入の安定以外に、健康面などにおいてメリットがあると考える方もいることでしょう。本記事では、定年退職後に年金収入だけで暮らす人はどのくらいいるのか、老後の生活費はどのくらいかかるのかを解説します。 定年退職後に働いて収入を得るメリットもまとめているので、年金収入だけで暮らすことが適切かどうか判断する際に役立ててみてください。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
定年退職後に年金収入だけで暮らす人の割合
(公財)生命保険文化センター「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」では、年齢別の世帯年収内訳を図表1のように伝えています。
(公財)生命保険文化センター「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」より筆者作成 定年退職後である可能性が高い、本人年齢60~64歳の世帯で、公的年金収入だけで暮らす人は18.1%です。それに対し、就労収入を得ている人は半数を超える74.6%という結果になっています。
老後の生活費はどのくらい必要?
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 」を見てみると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯と単身無職世帯の1ヶ月あたりの消費支出は、図表2のとおりです。
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 」より筆者作成 消費支出のうち、食料の割合がもっとも高く、高齢者無職世帯は28.6%、単身無職世帯は26.2%となっています。 ◆ゆとりある老後生活費は平均37万9000円 (公財)生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額で平均23万2000円であることを伝えています。ただし、あくまでも最低限の生活費であって、さらにゆとりある生活をしたいとなると14万8000円を上乗せした月額37万9000円が必要とのことです。 令和5年度の年金額は、国民年金が月額6万6250円(満額)、厚生年金は22万4482円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含めた標準的な年金額)です。ゆとりある生活をするためには、定年退職前から計画的に老後資金を貯めておくこと以外に、定年退職後も就労収入を得ることが安心であり確実性も高いでしょう。