習近平「独裁」時代の“意外”な注目株―強制退場の胡錦濤の息子・胡海峰のキャリアと人脈
1年間のネット上での封殺
「胡海峰」という名前を聞いてすぐピンとくる人は、なかなかの中国通である。胡錦濤前総書記の長男で、現在は国務院民政部副部長(日本だと総務省副大臣に相当)を務めている。ただ、2022年10月の中国共産党第20回党大会の閉幕日に、胡錦濤が会場のひな壇から“強制退場”させられた映像が世界に流れたときには、習近平と胡錦濤の間の確執という連想から、胡海峰の将来を懸念する見方が広がった。実際、胡錦濤の“強制退場”から胡海峰の民政部副部長任命までの1年あまり、「胡海峰」という言葉は“中国版ツイッター”の微博(ウェイボ)において「封殺」されていたのである(参照:大紀元 1月16日「胡海峰任民政部副部长 微博解禁“胡海峰” 」)。 【写真】習近平の第一夫人の美貌とファッションセンスがヤバすぎる…! さて、胡海峰がなぜ今注目株なのかというと、彼のこれまでの経歴と関係がある。胡海峰は1972年11月、父が赴任していた甘粛省で生まれ、北方交通大学(現北京交通大学)のコンピューター・科学技術学部を卒業、その後清華大学大学院で工学物理学部原子力電子工学・原子力探査技術を専攻した。その後同大学の経済管理学院でEMBA(MBA=経営学修士の頭にエグゼキュティブが付く、ワンランク上の学位)の第1期取得者となった。清華大学の理系出身という点は父と同じだが、卒業後も同大学と長く関係を持ち続けたこともまた父の歩んだ道を踏襲している。 胡海峰は一時、中国最大の食品会社である中糧集団に勤めたが、その後清華大学系列の同方威視技術股份有限公司総経理(社長)を経て、2008年1月にその親会社である清華控股有限公司の共産党委員会書記に任命される。そして2009年10月には清華大学の副秘書長に就任するなど、基本的に政治とは直結しないビジネスと学術の世界にいた(参照:维基百科,自由的百科全书 「胡海峰」)。 胡海峰のキャリアの転機となったのは、浙江省と清華大学が共同で浙江省嘉興市に設立した「浙江清華長三角(長江デルタ)研究院党委員会書記」に2009年12月に就任したことだった。この研究院、実は2003年に当時浙江省党委書記だった習近平の肝いりで、科学技術のイノベーションを産業化させるための研究機関として作られたものである。 胡海峰が浙江省嘉興市に赴任した時点で、党総書記は胡錦濤、次期総書記の呼び声が高かった習近平は中央書記処常務書記であり、胡海峰のこの人事は、習近平が胡錦濤との関係を深める目的があったのかもしれない。今では想像もつかないが、当時胡錦濤は習近平の上司だったのである。