<春はばたく>第92回センバツ注目校/8止 大分商(大分) 自主練強化し成長
<第92回選抜高校野球> 創部100年目に「春」の舞台に23年ぶりに戻ってきた。今大会に一般枠で選ばれた29校のうち4校しかない公立校の一つ、大分商の渡辺正雄監督(47)は「強豪私立に勝つためには組織力をつけるしかない。よくまとまって戦ってくれた」と選手たちをたたえる。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 大分県立の同校は県内唯一の商業専門高校。全校生徒は749人いるが、商業校は女子の人気が高く、男子は全体の2割強の161人にとどまる。入部者数も年によって波があり、現在の選手33人は2年生21人、1年生12人。今春の新入部員がさらに減れば、1年後は紅白戦を組むのがやっとの状態に陥る。 学校創立から4年後の1921年創部の野球部は「大商(だいしょう)」の愛称で知られ、過去の甲子園出場は県勢最多20回(春5回、夏15回)で、5度の8強入りを誇る古豪だ。だが、寮はなく、グラウンドはサッカー部などと共用で、照明設備も十分ではない。近年は前回大会4強の明豊や大分、藤蔭など私学勢に押され、昨夏の大分大会決勝でも藤蔭に苦杯を喫した。 悔しさをばねに、エース右腕・川瀬堅斗(2年)ら主力が残った新チームでは、各自が自主練習を強化して成長した。昨秋の九州大会では準々決勝で福岡第一、準決勝で鹿児島城西と私学勢を連破して準優勝。最速147キロの直球を武器に九州を代表する本格派右腕であり、中軸打者で主将でもある川瀬が大黒柱だが、昨夏もレギュラーだった遊撃手の岩崎竜也(同)は「(川瀬の)ワンマンチームとは呼ばれたくない」と力を込める。 チームが甲子園に直近で出場した2013年夏は初戦敗退。聖地での最後の勝利は、春夏連続出場した97年夏までさかのぼる。今大会で目指すのは23年ぶりの白星と、先輩たちが達成できなかった4強入りだ。昨年は市立校の明石商(兵庫)が春夏連続で4強入りしており、渡辺監督も「商業校、公立校の意地を見せたい」と強調する。節目の年に、チームの100年の歴史に新たな一ページを書き加える決意だ。【黒澤敬太郎】=おわり