川重社員が海自隊員に物品・飲食代、大阪国税局が12億円を所得隠しと指摘…川重は修正申告へ
海上自衛隊の潜水艦の修理業務に絡み、川崎重工業(本社・神戸市)の社員が海自隊員に物品や飲食代を提供していた問題で、川重側が支出していたとされる約12億円について、大阪国税局が、経費に該当しない交際費にあたり、所得隠しだと指摘し、川重が修正申告する方針であることが関係者への取材でわかった。
川重によると、潜水艦の修理業務は神戸工場(同市)で行われ、修繕部が担う。数か月の修理期間中、潜水艦の乗組員の隊員らが工場に隣接する宿泊施設「海友館」に滞在し、従業員と一緒に作業する。
関係者によると、川重は複数の下請け事業者に資材などの架空発注を繰り返し、代金を裏金として下請け側にプールさせていた。こうして捻出した金を、隊員が利用するゲーム機や冷蔵庫のほか、懇親会に提供されるビール券などに使っていたとされる。
大阪国税局はこれらの支出のうち、2023年3月期までの6年間の約12億円を交際費だったと指摘。所得隠しとして重加算税の対象となる見通しだ。川重は追加の税金負担を見越して約6億円の費用を用意している。
税務調査による指摘は課税の時効とならない期間(最長7年)に限られるが、川重はそれ以前から同様の行為がなかったかどうか、外部の法律事務所による特別調査委員会で実態を調べている。川重は国税局からの指摘に関して「年度内に修正申告を行いたい」としている。