能登の教訓生かす 厳冬期の北海道で防災訓練 ペット同行の避難も
元日に発生した能登半島地震からまもなく1年。道東の根室市や別海町などを会場に21、22の両日、北海道防災総合訓練があった。同地震の教訓を踏まえ、厳冬期の孤立地域対応、避難所運営などを確認した。 【写真】参加者が宿泊した体育館や教室は、灯油ストーブで暖められた=2024年12月21日午後9時7分、根室市、古畑航希撮影 訓練では、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を念頭に、釧路沖でマグニチュード8を超える地震が発生、太平洋沿岸が大津波に襲われたとの想定で実施された。 大きなテーマには、「孤立地域対応」と「避難所運営」を据えた。能登半島地震では、土砂崩れで孤立地域が多数発生し、救助や避難を妨げた。また、厳しい寒さの中、長期に及んだ避難所運営では、様々な課題が浮き彫りになった。 別海町では、実際に孤立地域が発生したことを想定。ドローンを使った情報収集などを確認し、厳冬期の機材の耐用性なども調べた。要救助者の救助、搬送も確認。陸上自衛隊のヘリを使って、避難場所から急患を搬送し、災害派遣医療チーム(DMAT)に引き継ぐ手順なども確認した。 根室市であった避難所運営訓練では、能登半島地震でも課題となったペットを連れての避難も確認。道防災総合訓練では、これまでぬいぐるみを使って実施してきたが、初めて動物を参加させた。 また、防寒対策を安全かつ効率的に実施するため、訓練中、一定時間、避難所の空調を止めてストーブだけで暖を取り、二酸化炭素の濃度を測定。換気時間による濃度変化を調べ、効果的な換気のためのデータを集めるなど、具体的な検証も行った。 訓練には、道のほか、警察、消防、自衛隊、開発局、気象台、海上保安本部、医療機関、トラック協会など35機関が参加。情報の共有や物資の運搬なども確認した。(長谷川潤、古畑航希) 今回初めて実施されたのが、ペットを連れての避難訓練だ。21日午後1時、参加者とともに避難してきた犬を道の担当者は盲導犬ではないと確認した後、屋外のペット避難所へと案内した。 雑種の中型犬2匹は、職員にほえるなど興奮気味。飼い主の清水光悦さん(44)によると、山中で生まれたところを保護したため、あまり人になれていないという。「車のなかでも歩いている人を見て暴れたりして大変でした」と話す。ペット避難所に着くと、2匹をケージに導いた。当初は戸惑いがちだったが、入って10分ほどすると、落ち着きを見せた。 ペットとともに避難する場合、タオルやペットシーツ、フードも必要だ。清水さんはケージに入れなかった場合に備えて、係留用のペグやハンマーを持参した。「道具は職員の人に手伝ってもらった。二匹を連れてくるほかに、避難道具も一緒に持ってくるとなると、歩いて来るのは大変」と話した。
朝日新聞社