【F1分析】レッドブル、フェラーリのレースペースを警戒。しかし警戒すべきチームは他にもいるかも……
F1オーストラリアGPの初日フリー走行2回目では、フェラーリのシャルル・ルクレールがトップタイムを記録。2番手となったレッドブルのマックス・フェルスタッペンに、0.381秒の差をつけた。 【リザルト】F1第3戦オーストラリアGPフリー走行2回目タイム結果 ここまで2戦連続で1-2フィニッシュを果たしているレッドブルだが、今回はこのフェラーリを警戒。FP2でのレースシミュレーションで見せたパフォーマンスから、フェラーリの速さはホンモノだとみているようだ。 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、Skyドイツのインタビューに次のように語った。 「我々は改善する必要がある。マシンは悪くないが、ルクレールはまだ微調整が必要なペースだったと思う。つまり基本的に、ますます差が小さくなってきていると言わざるを得ない」 ただマルコ曰く、アタックラップでフェラーリはパワーユニットを全開モードにしていたが、レッドブルはまだフルパワーではなかったと明かした。 「フェラーリは、予選シミュレーションをフルパワーで走ったと思う。我々はそうじゃない。だから、0.3秒という差が重要だったとは考えていない」 「しかし、彼らのロングランは非常に印象的だった。我々のセットアップは、まだ正しくない」 「しかしセットアップは正しい方向に進んでいると思うよ」
各車のロングランベースを分析
では、実際にFP2でのロングランはどうだったのだろうか? このグラフは、FP2でミディアムタイヤを履いてロングランを行なったドライバーたちのペースの推移である。上に行けば行くほどペースが速く、逆に下に行くほどペースが遅いということを示している。 マルコが警戒するルクレールのロングランは、赤色の実線で示した。たしかに、何度かスローラップが入っているものの8周にわたって走行し、そのほどんどで1分23秒を切るラップタイムを記録。しかもロングランの最後が最も速いのだ。 ここから読み取れるのは、確かにフェラーリはデグラデーションの傾向が小さいということ。昨年までこのデグラデーションに苦しんできたチームは、その苦悩から脱却しつつあるようだ。 一方でチームメイトのカルロス・サインツJr.(赤色の点線)は、ロングラン終盤にペースを落としており、デグラデーションが生じている可能性を示している。サインツJr.の場合はスローラップを入れていないので、これがこのふたりの違いに現れている可能性もある。 レッドブルは、マックス・フェルスタッペン(紺色の実線)がFP1でマシンにダメージを負った影響で、FP2での走行開始が遅れた。それもあり、連続周回数が4周のみに限られた。またチームメイトのセルジオ・ペレス(紺色の点線)には、デグラデーションの傾向が見られる。 ここから考えると、確かにフェラーリ勢の方が現時点では有望に見える。ただレッドブルとしては、フェラーリだけを警戒しておけばいいというわけではないかもしれない。 一番注目しておきたいのはマクラーレン勢だ。ロングラン中の絶対的なペースが最も速かったのが、このマクラーレンなのだ。もちろん、燃料搭載量が少なかった可能性はあるもののも、特にランド・ノリス(オレンジ色の実線)のペース推移を見るとデグラデーションがほぼないように見え、決勝では強力な可能性がある。 またアストンマーティン勢も好調。ランス・ストロール(濃い緑色の点線)のペースも優れていたし、フェルナンド・アロンソが最も長いロングラン(13周)を走ったのも好印象だ。ただ、アロンソは最後大きくペースを落としているのは気がかりである。この点は、マクラーレンのオスカー・ピアストリ(オレンジ色の点線)も同様である。 メルセデス勢は、ジョージ・ラッセルのロングランは短く、ルイス・ハミルトンについてはロングランを行なわなかった。そのため、パフォーマンスを見極めにくいという部分がある。 メルセデスは不明として、レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、アストンマーティンは僅差であるように見えるが、果たして結果やいかに。 なお中団グループの中では、RBの角田裕毅(青色の実線)とダニエル・リカルド(青色の点線)のペースが印象的。いずれも、デグラデーションの傾向がほろんど見られない。そういう理由で、決勝で強さを発揮する可能性があるように見える。
田中 健一, Jonathan Noble