38歳の“エリート部長”が「横領金300万」で部下に「ボディタッチ」…訴えられた「セクハラ上司」が会社に放った、キモい言い訳
労務相談やハラスメント対応を主力業務として扱っている社労士である私が、労務顧問として社労士として企業の皆様から受ける相談は多岐にわたります。 【マンガ】38歳会社員が絶句…2500万の「軽井沢の別荘」を買ったら思わぬ出費 経済や社会情勢の変化によって労働問題やハラスメントの捉え方も変わり、「明らかにアウト」「明らかにセーフ」といった線が引きにくい時代になりました。 社労士としてグレーゾーンの問題を取り扱ってきた経験では、こうした問題に対処するには労働法だけではなく、マネジメントや人事制度など幅広い知識が必要になります。 あるIT企業で部長職にあったT部長(38歳)は、若く優秀なエリートでした。しかし、秘書であり恋人でもあったEさんをはじめ、社内の複数の女性社員との恋愛トラブルを起こし、しかもそのうちのIさんとは会社の経費でデートしていたのです。 T部長は会社にとって自分は必要な人材だと自負していましたが、社員からもセクハラと告発を受け、そのためにT部長は諭旨解雇処分となりました。 一体、どのような経緯で、T部長はこのような事態を招いていったのでしょうか。また、どうして恋愛トラブルが解雇相当のセクハラと判断されたのでしょうか。<【前編記事】女性秘書が絶句した、38歳「エリート上司」との社内交際中に発覚した、同性の部下からの「ヤバすぎる訴え」>に引き続き、「なぜT部長は解雇まで至ったのか」という観点で事例を見ていきたいと思います。
「社会勉強だから」の一言で…
Iさん曰く、最初のセクハラのきっかけはT部長のプロジェクトチームの一員として参加した打ち上げがきっかけでした。複数人のメンバーで居酒屋でプロジェクト成功のお祝いをした日、Iさんは酔ってしまい、帰る方向が同じT部長が送っていくことになりました。 ところがそのタクシーの車内で、T部長が「Iさんはかわいいね。性格もいいし一生懸命で」と声を掛けながら手に触れてきたのだそうです。Iさんは一瞬変だなと思いましたが、酔って気持ちが悪かったのと自意識過剰と思われるのが怖くてそのままにしていました。 その日は自宅の近くで降ろしてもらったそうですが、「自宅を知られるのはまずい」と咄嗟に思ったのだそうです。 その後もさりげなさを装ってT部長からIさんへのアプローチは続き、企業営業や商談会などへも同行を求められるようになりました。この頃IさんはT部長の直属の部下になり、さらにT部長との時間が増えることになります。IさんはT部長の時間が増えること自体は嫌でしたが、キャリアを考えて受け入れていたそうです。 そのような関係のなかで、接待明けや商談会後のIさんの夕食は、いつもT部長がご馳走してくれました。自分の財布では支払えないような高級フレンチや懐石などの店に連れていかれ、Iさんが断ってもT部長は「社会勉強だから」と特に気にする様子もなかったそうです。 しかしこのような高額な食事が続いたり、一流の会社の役員に会うからとブランド物の名刺入れやバックを贈られたりと明らかに度を越したプレゼントが続いたため、Iさんは同性の管理職でもあるEさんに相談したとのことでした。 思い悩んだEさんはこの話を聞いた後、信頼している他社の友人にT部長との関係を伏せて相談します。その友人からそれは間違いなくセクハラになる、早く手を打つべきだと諭され、翌日Eさんは経営者である創業メンバーの役員たちに相談があった事実を打ち明けたのです。