22年に阪神ドラフト1位入団の森木、育成選手として再出発…一軍未勝利も同郷・藤川監督の指導で手応え
2022年にドラフト1位で入団も、一軍未勝利のまま3シーズンが過ぎた。プロ野球・阪神の右腕、森木大智(21)。同じ高知県出身の藤川監督に憧れ、「藤川さんを超える存在になりたい」と宣言していた若者は、育成選手として再出発する来季に向けて、一筋の光を見いだしている。(細田一歩) 「全然いいやん。一緒に頑張っていこう」。秋季練習中、キャッチボールを見守った藤川監督に、そう声を掛けられた。森木は「自分自身、つかんでいる感覚はあったので。いいものは全部吸収してやろうと思う」と顔をほころばせた。 中学時代に軟式で150キロをマークして注目を集めた。高知高(高知)で甲子園出場はかなわなかったが、プロ1年目で一軍デビューを果たし、将来を嘱望された。ただ、ここ2年は一軍登板はゼロ。今季は二軍で防御率11・32と不本意な結果に終わり、このオフに育成選手契約を結んだ。
不振の一因は改良を試みた投球フォーム。筋力がついたことで全体的なリズムを速めたが、左足の踏み込みと右腕を上げるタイミングが合わなくなった。「(強化した)フィジカルに技術が追いつかなかった」。球に力が伝わらず、制球がばらついた。 秋季練習で、藤川監督に「右の股関節が左の股関節を追い越すイメージで」という指導を受けると、「リズムがバチっと合った」と好感触を得た。秋季キャンプではブルペンに入る回数を減らし、打撃練習用のネットに向かって短い距離で投げるなど一からフォームを固めた。 4年目の来季は支配下登録復帰がまず目標になるが、「(ドラフト1位として)どう思われているのかって気になっている時期があった。今は自分の課題にちゃんと向き合えている」と前を見据える。「暗闇の中にいるわけじゃない。絶対にやってやる」。雌伏の時間はきっと無駄ではない。