減便した「朝の電車」元の本数なら混雑は緩和されるのか ラッシュ時の輸送力、2019年度と比較して試算
■もし元の本数だったら? 例としては中央線快速が挙げられる。国土交通省が毎年発表している鉄道の混雑率のデータによると、コロナ前の2019年度、最混雑区間の中野→新宿間のピーク1時間当たりの輸送力は4万4400人(10両編成30本=データ記載に基づく)、輸送人員8万1550人で、混雑率は184%だった。 2020年度、この輸送人員は一気に約3万人も減り、5万1380人になった。この状況を受け、2022年春のダイヤ改正では最大の運転本数を1本減らして29本とし、翌2023年春の改正ではさらに1本減って28本となった。
2本減便された2023年度の輸送力は4万1440人分だ。ただ、輸送人員は6万5510人と2019年度の8割まで戻り、混雑率は158%となっている。もし1時間当たり30本・輸送力4万4400人を保っていたなら、混雑率は148%だった計算だ。 もっとも、2023年春のダイヤ改正では上記の時間帯を1本削減する代わりに、それより前の早朝に1本増発しており、以前よりも通勤客が分散する傾向にある中、本数の配分を変えたということができる。
また、中央線快速・青梅線では2025年春からグリーン車のサービスを開始する予定だ。現在10両編成の電車に2両のグリーン車を連結する。 東海道本線などの混雑率データを見ると輸送力にグリーン車は入っていない計算だが(13両分となっている)、利用者がグリーン車に移れば一般車両の混雑緩和につながる可能性はあるだろう。定員は2両で180人。1時間当たり28本なら5040人分のキャパシティが増えることになる。
混雑率のデータにある路線でいえば、2019年度比でもっとも輸送力が減ったのは山手線外回りの上野→御徒町間で、11両編成22本から17本へ約8100人分減少した。2番目は常磐線快速が約8000人分減っている(ただし、2019年度と2023年度で区間は異なる)。3番目は中央線各駅停車で約7400人分、4番目は常磐線各駅停車で約5600人分、5番目は山手線内回りで約4900人分だ。 これらの路線は2023年度の混雑率がいずれも140%以下だが、もし以前の輸送力であれば最大で110%台前半だった計算だ。