脇本雄太と別線選んだ窓場千加頼「近畿はガチンコ勝負」継がれゆく“魂”刻んだ向日町記念/記者が見た記憶に残る一戦
決勝並び
⑤窓場千加頼-①山田久徳-④大森慶一 ②松谷秀幸 ③清水裕友-⑥松岡貴久 ⑧大槻寛徳 ⑨脇本雄太-⑦武藤龍生 決勝の初周は前受けが窓場ライン。中団が脇本ラインでその後ろに松谷。後ろ攻めは清水ラインで単騎の大槻がその後ろとなった(⇐⑤①④・⑨⑦・②・③⑥・⑧)。赤板前から上昇してきた清水は中団の脇本をフタするような形。外併走で2コーナーから清水が発進し、単騎の大槻が続き、窓場は中団へ収まる。 打鐘過ぎに松谷が内を掬い、前々に踏んだ動きで脇本と窓場はタイミングをズラされる形になったが、先に仕掛けたのは8番手で立て直した脇本。それに併せるように最終バック手前から窓場も発進。窓場の勢いがよく地元記念を獲るかに思われたが、僅かに外々伸びた脇本が1/8車輪の差で優勝となった。
レース後の窓場は「30メートル線で勝てたと思ったけど、行かれてしまった。僅差とはいえ、まだ足りないってことでしょう。いい経験になったし、今後の糧にしたい。次の平安賞では成長した姿を見せたいですね」と悔しさを滲ませながらも輪界最強の脇本としっかり力勝負し、コメント通りにガチンコの戦いを披露した。見ているお客さんや記者だけでなく、そのレースを見ていた他の選手達も熱くするような白熱したレースだった。 今では味方が集まったならどう折り合うか、自力同士ならどうするか。ラインを強固にするならひとつでまとまった方がいいと考えるのが自然だが、選手によって考え方は様々だし、時と場合によるがまとまるなら「番手勝負」を挑むなんてこともある。 この平安賞が印象的だったことをはっきりと感じたのは終わってすぐの松戸F1開催。そのときは近畿の自力選手が多くいたのだが、2日目以降に自力選手同士が一緒の番組になったときに『向日町で脇本さんと窓場さんが近畿はガチンコ勝負って言っていた。だったら自分らもガチンコ勝負で!』と気合が入っていた。この激闘譜というテーマでどのレースを選ぼうかなと考えていたときにそんな風景を思い出した。 ラインを強固にするためにまとまる選択肢を取るのが“おおかた”だが、勝ち上がったメンバー構成やそのときの状況によっては違う選択肢も出てくる。今回の平安賞は『近畿としての戦い方』を現したというのもあるだろうが、地元として挑む窓場の気持ちがヒシヒシと現れた印象的な開催だった。