がんで余命1年半と言われました。年金を「繰下げ受給」する予定だったのですが、今から受給を開始できないでしょうか……?
年金をもっとあとの年齢で繰下げ受給しようと予定していたものの、その後の体調変化などによって「繰り下げを中止したい」と考える方もいるようです。 そこで、がんで余命1年半と診断されたことを理由に、「繰り下げを中止して年金を受給したい」と考えている方を例に考えていきます。
繰下げ受給の概要
年金の繰下げ受給とは、65歳より遅くに年金の受け取りを開始することで、将来、その分増額された年金を受け取ることができるというものです。 繰り下げは1ヶ月単位で、最大75歳まで行うことができます。1ヶ月繰り下げることで、年金額は0.7%増額されます。仮に75歳まで繰り下げれば、84%も年金が増額されることになるわけです。 例えば、11万円の年金を受け取ることのできる方が、75歳まで繰り下げを行うと、年金額は9万2400円も増加して、合計で1ヶ月当たり20万2400円にもなるのです。
繰り下げは中止できる
繰り下げは、いつでも中止することができます。その際に、繰り下げを中止して年金を受給するには、2種類の方法があります。まず通常の年金の繰下げ受給を選べば、その時点に応じて増額された年金を生涯にわたって受け取り続けることができます。 それとは別に、これから受け取る年金の増額分はなかったことになるものの、65歳時点までさかのぼって、それまで受け取っていなかった分の年金をまとめて受け取ることができます。 例えば、ある方が「この先、月換算10万円予定の年金で生活するには心もとない」と感じて、年金の繰下げ受給で支給額の増額を予定しているとしましょう。 その方が68歳時点でまだ年金を受給していなかったとすると、そこから65歳までさかのぼった段階の支給予定額である月換算10万円で、65歳から68歳までの分の年金を一括で受け取ることができます。 なお、年金の繰り下げを取りやめることには、特別な事情は必要ありません。がんで余命宣告を受けている場合はもちろん、単に「生活に困ったから」という理由でも問題ありません。 繰下げ受給の手続きは特段複雑なものではありません。最寄りの年金事務所へ、年金に関する請求書を提出することで行えます。詳細については、最寄りの年金事務所へ相談してください。