命を守るために“逃げる”:石巻南浜津波復興祈念公園で追悼し、みやぎ東日本大震災津波伝承館や門脇小学校へ
発災から津波の恐ろしさ、復興に向けた苦難の道のりを伝えるパネル展示のほか、語り部からのメッセージやVR映像を活用して県内にある伝承施設を紹介するコーナーなどもある。解説員が多数常駐しているので、声を掛ければより理解が深まるだろう。
「がんばろう!石巻」看板や門脇小学校へ
公園の西側には「がんばろう!石巻」の大きな看板が置かれている。これは2021年に作り替えたもので、3代目だという。 初代の看板は震災1カ月後の11年4月11日、がれきの中から拾った木材を使用し、地元の有志が制作。被災者を励ますだけでなく、復興のシンボルとして広く知られるようになっていった。2016年に公園予定地内に移設する際、地元中学生らと一緒に作り直したのをきっかけに、5年ごとに子どもを交えて新調することで、震災の記憶を継承していく市民活動が始まった。 初代「がんばろう!石巻」の看板も壊されずに、日和山の麓にある「石巻市震災遺構門脇小学校」に展示してある。公園南側の門脇門を出れば徒歩2分ほどなので、ぜひ足を延ばしてほしい。
門脇小学校では地震発生後、日頃からの訓練通りに学校裏の日和山へと避難。校舎に残っていた児童全員が無事だった。ただ校舎は1階が津波に飲まれた上に、その後の火災で2階と3階は炎に包まれた。現在は、津波火災の痕跡が残る唯一の震災遺構として、迅速な避難の大切さを伝えている。 子どもたちが学んでいた教室は被災時のままで、机やいす、教壇が壊れたり、焼け焦げていたりと凄惨(せいさん)な状況だ。展示館では緊迫した避難の様子から、体験者の生々しい記憶や言葉、町や学校の歴史などを詳しく紹介している。 誰もが経験する小学生時代と重ね合わせることで、震災が「自分にも起こりうること」として捉えることができる門脇小学校。新しく整備された公園や伝承館とは、また違った感情が胸に迫るので、石巻で震災の記憶や教訓を学ぶには欠かせない場所といえる。 取材・文・撮影=ニッポンドットコム編集部 <みやぎ東日本大震災津波伝承館・門脇小学校の詳細は、ページ下部の【関連記事】リンク参照>