中国公安偽り2760万円詐取 富山在住中国人が被害
●「あなたは容疑者」 国際電話使用の手口増 「あなたは詐欺グループの容疑者だ」。富山中央署は27日、中国公安局や現地検察官をかたる男から中国語で掛かってきた電話で、富山市に住む中国籍の20代男性が特殊詐欺の被害に遭い、2760万円をだまし取られたと発表した。中国公安の強力な権威を悪用し、在留中国人から詐取する同様の手口は首都圏を中心に増えているが、富山県内では初めて。県警は警戒を強めている。 ●「お金で検察の偉い人を紹介」 署によると、9月23日、男性の携帯電話に、「+」から始まる国際電話の着信があり、通信会社を名乗る男から「あなたのスマホのSIMカードが犯罪に利用されているのでサービスを停止する」と連絡があった。 その後、中国公安局の職員をかたる男から電話があり「詐欺グループの首謀者の自宅からあなた名義のキャッシュカードが出てきた。あなたは容疑者である」「お金を用意できるのであれば検察の偉い人を紹介し、罪をなかったことにできる」などと言われた。 男性が紹介された連絡先に電話したところ、中国の検察官を名乗る男から現金を振り込むよう指示され、10月3~18日に指定口座にネット銀行で3回にわたり計2370万円を入金した。同13日には富山市内で中国公安局の協力者を名乗る男に現金390万円を手渡した。 その後、男性は不審に思い、中国の行政機関に電話で確認したところ「そのような事実はない」と言われ、詐欺に気付いた。 署によると、電話のやり取りはすべて中国語で行われていた。藤岡剛副署長は「国際電話による特殊詐欺が急増している。捜査機関を名乗り現金を要求するのは詐欺の手口。国籍に関わらず注意してほしい」と話した。 中国公安局や中国大使館を名乗る詐欺の電話は昨年ごろから東京などでみられ、警視庁は中国語による啓発チラシを作成し、注意を呼び掛けている。