台湾生まれの日本人女性、幼少期に暮らした家を再訪 製糖工場が協力
(雲林中央社)日本統治時代の台湾で生まれた「湾生」の日本人女性(83)が11日、幼少期に暮らした家を探すため、中部・雲林県虎尾鎮を訪問した。手掛かりは女性の記憶だけだったが、地元の製糖工場の協力を経て、無事見つけ出すことができた。 両親はいずれも湾生で、母親は虎尾の生まれだった。女性は父親の仕事の関係で1、2歳の時は南部・高雄に暮らしたが、その後虎尾に引っ越した。日本に引き揚げたのは4歳の時だった。 50年余り前と昨年にも台湾を訪れていたが、言葉の問題などで家を見つけられず、心残りになっていたという。今回は事情を知った台湾糖業虎尾工場の蘇建元工場長がかつて暮らした家の特定に協力した。 女性によると、家は虎尾郡役所(現・雲林布袋戯館)の斜め向かいにあり、母方の祖父が薬局などを経営。前の通りは細いながらもにぎやかだったという。家が見つかった際には工場の関係者らにしきりに感謝の言葉を伝えた。 女性は、引き揚げ時には祖母が2キロの砂糖を背負って日本に向かったことに触れ、挫折を味わった際などの慰めになったとも語った。蘇工場長の計らいでザラメを試食した女性は、懐かしい味に目に涙を浮かべていた。 (姜宜菁/編集:齊藤啓介)