「ハオ!」の掛け声は栄養剤、台湾京劇「孫悟空 Episode ZERO」のキャストがプレビュー披露
11月に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールで上演される台湾京劇「The Monkey King 孫悟空 Episode ZERO」記者発表会および記者向けプレビューが、本日9月18日に東京・台北駐日経済文化代表処 台湾文化センターで行われた。 【写真】「The Monkey King 孫悟空 Episode ZERO」 記者向けプレビューの様子。 台湾京劇は、中国で発祥した京劇の伝統を継承した演劇。「The Monkey King 孫悟空 Episode ZERO」は、2021年に台湾・台北で初演された、台湾京劇のオリジナル作品となる。中国の古典小説「西遊記」を脚色した本作では、孫悟空が三蔵法師に出会う前の物語が、現代風アレンジで描かれる。仙人のもとでさまざまな術を身に着けた孫悟空は、如意棒を武器にあちこちで暴れ回り、ついには十万の天軍と対決することになり……。劇中では、二十代、三十代、七十代の3人の俳優が、各場面の孫悟空を演じ分ける。 記者発表会ではまず、台湾文化センター長の曽鈐龍、公演主催者であるトレンドマイクロの大三川彰彦取締役副社長、トレンドマイクロの最高文化責任者ジェニー・チャンがあいさつ。続けて、記者発表会のMCを務めた日本人初の京劇俳優・石山雄太が、本作の魅力や楽しみ方を紹介した。石山は「本作に登場する孫悟空は、正義のヒーローではなく厄介者。ですが非常に素直な人物で、仲間に優しい一面も持っています。観客にとっては、好き放題に暴れまくるところが痛快かもしれません」と語る。 また石山は「京劇を観るお客さんに持っていていただきたいものは、想像力です。京劇では、舞台上には最低限のものしか置かないという決まりがあります。そのぶん、俳優が全身を使った演技、歌やセリフで情景を伝えます。例えば、孫悟空は海の竜宮城や天界に行きますが、舞台上には水も雲も現れません。また孫悟空が馬役人になる場面で、4本足の馬は登場しませんが、俳優がムチを振るう動きで馬に乗っている状態を表現します」と実践を交えて説明し、「最初は大変かもしれませんが、想像しながら観るうちに、京劇にハマること間違いなし」とおちゃめにアピールした。続けて、石山は「京劇には『素晴らしい』『お見事』といった意味の『ハオ(好)』という掛け声がありますが、拍手と『ハオ!』は俳優にとって栄養剤のようなもの。俳優がすごい技をやったときやポーズを取ったときは、恥ずかしがらず応援してもらえたら」と呼びかけた。 後半では、主要キャストのチー・ティンファン、チン・ラング、スー・チェンウー、楽器奏者のガオ・ティンドンとチー・チャーミングが記者向けに15分程度のプレビューを披露した。続けて、衣裳担当のリン・リンチャオを交えて、質疑応答が行われた。チー・ティンファンは「京劇でよく題材にされるのは、『西遊記』『水滸伝』『三国志演義』『紅楼夢』の四大名著です。今回の『西遊記』は、既存の京劇に比べて、衣裳や照明、背景などに新しいものを取り入れています」と述べる。 リンは、質疑応答時にキャストが着ていた衣裳について「黄色の衣裳は、孫悟空がまだお山の大将だった頃に着ていた普段着で、赤い衣裳は、天界で火攻めの刑にあったときに真っ赤に焼けてしまった様子を表現しています」と説明。さらに「隈取りの金色は、神の力を持つ人物を意味します。孫悟空の隈取りは途中で桃色から金色になりますが、これは火攻めにあったときに目がいぶされて、聖者を見抜く眼力を手に入れたためです」と話した。 質疑応答では、「日本滞在中、楽しみにしていることは?」という質問が投げかけられる場面も。チンは「歌舞伎や相撲を観てみたい。また、日本の生活様式の細やかさに触れてみたい」と言い、スーは「ショッピング」と回答して場を和ませた。 公演は11月16・17日にKAAT神奈川芸術劇場 ホールにて行われる。 ■ The Monkey King 孫悟空 Episode ZERO 2024年11月16日(土)~2024年11月17日(日) 神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール □ 出演 CHU Lu-Hao / HSU Ting-Fang / CHIN Lang / CHANG De-Tian / WU Jen-Chien / SU Chien-Yu ※日本語字幕あり。 ※学割あり。