「睡眠医療」で貢献したい ── 大阪の睡眠計測ベンチャー・国の新たな企業支援投資第1号に
「睡眠科学を手のひらに」のキャッチフレーズで、独自開発した小型脳波計を活用し、快眠サプリの開発サポートなどを手掛ける大阪の新進企業が、国の新たなベンチャー企業支援事業の投資先第1号に決定した。睡眠科学は睡眠医療など、幅広い分野での応用が想定される。医療や健康にかかわるライフサイエンスを、関西の次なる成長産業にとの声が強まるだけに、同社への注目度が高まりそうだ。
小型脳波計「スリープスコープ」を開発
このベンチャー企業は大阪市北区に拠点を構えるスリープウェル。2010年の設立以来、医療機器である小型脳波計「スリープスコープ」による睡眠データの解析サービスに取り組んできた。 13年2月、スリープスコープが国の薬事認証を取得、8月には同社が大阪市のトップランナープロジェクトの認定を受けた。さらに今月、科学技術振興機構(東京都千代田区)の出資型新事業創出支援プログラムの出資先第1号に決定した。 取引先は快眠サプリの開発などに取り組む食品メーカーを中心に、医療機関、大学・研究機関へ広がっている。設立以来短期間で高い信頼を獲得した背景には、すぐれた技術開発力の裏付けがある。同社は基礎研究で異彩を放つ大阪バイオサイエンス研究所(OBI)の研究成果を引き継いで設立されたからだ。
研究者の要望から脳波計小型化が研究テーマに
吉田政樹社長自身、大阪市外郭団体のコーディネーターとしてOBIにかかわり、小型脳波計解析サービスの実用化をめざして起業した。 「睡眠脳波を調べるには、脳波に加え眼球、呼吸、体の動きを精密に測定するため、被験者の頭部や体に多くの電極を装着した大掛かりな検査が必要だった。時間もコストもかかるため、食品メーカーが快眠サプリを開発しようとしても、快眠効果を実証する研究を進めにくい。もっとシンプルに脳波測定ができるようになれば助かるという研究者の要望に応え、脳波計の小型化が研究テーマになった」(吉田社長) OBIの開発した1チャンネルの脳波計で、操作が簡単ながら旧来型の脳波計と比べてそん色のない測定効果を得られることが判明したため、実用化に踏み切った。