『Liar’s Bar』や『Buckshot Roulette』の配信人気に見る、“ボドゲ風”カジュアルタイトルの盛り上がりとその理由
今年4月にリリースされた『Buckshot Roulette』と、10月にリリースされた『Liar’s Bar』は、11月に入ってからも配信や動画で人気のタイトルだ。 【画像】ロシアンルーレットをテーマにしたPvPゲームとして人気を博す『Buckshot Roulette』と『Liar’s Bar』 両作品とも、命を賭ける残虐なギャンブル・ロシアンルーレットをテーマにしたPvPゲームで、独自の緊張感や、戦略性もあって話題となり、また配信者同士・視聴者を交えたコミュニケーションツールとしても盛り上がりをみせている。 今回はそんな両作品を簡単に紹介しつつ、マルチプレイゲームにおける流行の変遷について考察していく。 ■『Buckshot Roulette』 『Buckshot Roulette』はショットガンを用いてロシアンルーレットを行なうゲームで、プレイヤーは一攫千金を狙い命を賭けたギャンブルを行うこととなる。もともとはNPCであるディーラーを相手にした一人用ゲームとして人気を得ていたが、今年11月には最大4人でのマルチプレイに対応した。 そんな本作のルールは、ターンごとに自分とディーラーが交互にショットガンを撃っていくというもの。ショットガンの弾は実弾の中に空砲が混じっており、また、撃つ際は相手だけでなく自分にも銃口を向けることができる。相手に実弾をヒットさせればライフを削ることができ、これを0にすれば勝利となるが、空砲を相手に撃つとターンが移ってしまう。逆に自分へ向けて空砲を撃てればターンが継続することが可能となる。 一見すると運の要素が強そうな本作だが、ランダムに配られるアイテムの存在によって思考の余地があるゲーム性となっているのがポイントだ。アイテムには次に発射される弾が実弾か空砲かを確認できる虫眼鏡や、砲身を切ることでダメージを2倍にできるノコギリ、相手のターンをスキップできる手錠などさまざまなものが存在し、虫眼鏡で次に撃つ弾種を確認してノコギリで威力の挙がった実弾を撃ちこむようなコンボも可能となっている。 アイテムを用いて運の要素を減らしつつ、引きがいい際は詰将棋のように確実な勝利を狙うといったことを考えながらプレイできるが、時にはすべてを天に委ねて引き金を引くしかないという運と思考のバランスが本作の魅力となっている。 マルチプレイでもこうした楽しみを味わえるほか、ボイスチャット等をつなげばトークによる駆け引きもプラスされ、よりスリルのあるゲームが楽しむことが可能だ。 ■『Liar’s Bar』 一方の『Liar’s Bar』は、「ライアーズバー」を舞台に命を賭けた騙し合いを最大4人で楽しむことができる作品で、現在2種類のゲームを楽しむことができる。 ひとつ目のゲームである「ライアーズデッキ」では、各プレイヤーが順番にカードを出していき、他のプレイヤーが嘘を見破るというもの。場に出していいカードの種類は決まっており、そのカードを出したか否かで心理戦が発生する、トランプゲームの「ダウト」のようなゲームとなっている。このゲームでは嘘が見破られた、もしくは正しいカードを出したのに嘘だと宣言したプレーヤーがロシアンルーレットを決行。6発中1発が当たりとなっており、トリガーを引くたびに確率が上がっていくが、運が悪ければ1発目で死亡してしまうこともある。 ふたつ目の「ライアーズダイス」は、全員が5個ダイスを振り、サイコロのどの目が全体で何個出ているかを予想して宣言していくというもの。宣言できる出目の数字か個数のどちらかは、前の個数よりも大きくなければならない。このゲームでも他プレイヤーの宣言に対して嘘を指摘することが可能で、宣言が正しくなかったプレイヤーか、正しいのに指摘をしてしまったプレイヤーのどちらかが毒薬を飲むことになり、2回毒薬を飲んだ場合は即死してしまう。 ふたつのゲームのうち、現在は「ライアーズデッキ」が人気で中心的にプレイされている。これはカードを出して嘘を見抜くという分かりやすさに加えて、ペナルティが即敗北につながらず、ロシアンルーレットによる運試しになっている点が大きいのだろう。ロシアンルーレットが生む独自の緊張感はもちろん、間違えても即死しない可能性があるからこそ強気なプレイができるというカジュアルさが「ライアーズデッキ」の魅力となっているのではないだろうか。 また、本作の特徴として、プレーヤーの分身となるアバターによるコミュニケーションだ。本作は各プレーヤーが動物のアバターを用いるのだが、首を動かすことでやり取りをする。運が悪いときに首を振り続けたり、縦に振り続けることで「信じてくれ」とメッセージを発し心理戦での揺さぶりをかけたりといった、シンプルながらにユーモアあふれるやり取りが可能となっている。 ■よりボードゲーム的なものの存在感も増している こうしたロシアンルーレットゲームが配信で人気なのは、ゲームとしてのカジュアルさや、心理戦におけるやり取りが視聴する面白さにつながっていることが大きいだろう。対戦型のゲームは、ぱっと見のルールが分かりづらいと、どうしてもそのゲームの魅力が伝わりづらくなってしまう。『Buckshot Roulette』と『Liar’s Bar』はどちらもボードゲーム的なタイトルだが、麻雀などに比べて何がおきているかが分かりやすいというわけだ。 また、命を賭けたギャンブルという設定や、そこで行なわれる心理戦では配信者の人となりがでるため、配信者同士の対戦は当然盛り上がる。駆け引きの際の煽り合いや、ロシアンルーレットで運悪く弾が出た際の叫び声で笑いが起きることも少なくない。 さらに『Liar’s Bar』ではボイスチャットなしでも他のプレーヤーとの交流が可能なため、視聴者参加型の座組を作りやすいのもポイントだ。首振りコミュニケーションによって配信者の声と、視聴者の首の動きという形で交流ができるので、いつも以上に配信者と視聴者の距離が近くなるというのは大きな魅力となっているだろう。 これまで配信では多ジャンルのゲームが流行してきた。代表的なものをいくつか挙げるなら、『ApexLegends』『VALORANT』といったチーム戦FPSや、『タルコフ』などのシビアなPvEゲーム。『Minecraft』や『ARK』、『Rust』のようなクラフト系のゲーム。『スイカゲーム』や『8番出口』といったインディーゲーム……などなど枚挙にいとまがない。 騙し合いや駆け引きといった点では、『人狼』や『Among Us』が挙げられるが、今回紹介したタイトルはよりカジュアルで、気軽にプレイできるものとなっている。今後はこうしたボードゲーム風だが見ていて分かりやすいタイトルや、視聴者が参加しやすく配信者とコミュニケーションを取れるタイトルの存在感も増していくのではないだろうか。
堀江くらは