「未婚の母でレズの写真家」が赤裸々に語る 「エアドロ痴漢」の哀しみと「鬼畜」だった曽祖父のこと
現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。 【写真】「未婚の母でレズの写真家と書いていいですよ」と語る珠かな子さん * * * ■未婚の母でレズの写真家と書いていい 写真家として活動する珠かな子さん(36)は、小学2年生の息子と関西で暮らしている。過去には写真モデルをしており、私は10年ほど前に雑誌の企画で撮影したことがあった。その日は、撮影以来の再会だ。 待ち合わせ場所に立っていると、横断歩道の向こう側で電動ママチャリに乗りながら手を振っているかな子さんの姿が見えた。鮮やかなファッションに満面の笑みで、街なかでもひときわ華やいで見える。 「息子との生活は、本っ当に楽しいんですよ!」 会うなり子どもの話が止まらず、幸せそうなオーラが全身から漂っていた。 そして、サラリと言う。 「私のことは、未婚の母でレズの写真家と書いてくれていいですよ」 ■「エアドロ痴漢」の腹立たしさ その日は、私に話すことをメモしてきてくれていたらしい。ファミレスで一息つくと、まずは駅構内で遭遇するというエアドロ痴漢の話題から始まった。 エアドロ痴漢とは、iPhoneのエアドロップ機能を利用して、知らない相手に猥褻な画像を送り付ける行為のことだ。今では表示設定を選べる機能もついたが、以前は、油断するとすぐに送られてきたという。 「エアドロをオンにしていると、スマホに『サキ』とか『ユキ』みたいな可愛い系の名前がダーッと表示されるんですよ。駅とかだと人がいっぱいいるし、みんな携帯見てるから、誰が送っているかなんてわからない。試しにタップしたら、黒人のイチモツが映っているんです」 だが、まわりに黒人男性はいない。かな子さんは、そのことも腹立たしいという。 「本人の画像でもなければ、自分の名前ですらない。大阪の新世界だと、知らないおじちゃんが『姉ちゃんおマンコしとるか!』って叫んでるんですよ。それを見習えって思う」 ■何かがくすぶっている そのおじちゃんは、周囲から白い目で見られている。同じセクハラでも、罪を引き受けているかどうかという違いだ。 しかも、画像を送った当人ですら、受け取った相手がわからない仕組みだという。これでは、宙に向って痴漢しているようなものだ。 「エアドロ痴漢には、ゴールがない。好きな女の子と手をつないでチューしたいとかじゃないわけでしょう。何も満たせないけれど、何かがくすぶっている。それって悲しいなって思う」 かな子さんは、そのことを憂えていた。