水稲〝刈り遅れ〟に注意 猛暑影響、収穫適期が早まる可能性
今年も猛暑が続く中、高温による稲の生育前進で収穫適期が平年より早まる可能性があるとして、主産各県が刈り遅れ防止へ注意を呼びかけている。刈り遅れると亀裂が入る胴割れ粒などが発生し品質が低下する。地域ごとの出穂後の積算気温表やもみの色に注意し時期を見極めることや、農機の準備を早めにして備えを万全にするよう求めている。 東日本の主産地では高温で出穂が早まり、出穂後も高温が続いている。そのため、各県は収穫時期も平年より早まる可能性があるとみる。記録的な暑さに見舞われた昨年は、収穫時期が平年より1週間ほど早まった地域もあった。 収穫時期の目安は出穂後の積算気温から推定でき、早生品種で950~1000度、中生品種は1000~1100度。地域の農業普及センターやJAなどが提供する積算温度情報を参考にする。もみの黄化割合は85~90%が収穫時期の目安となる。
早生品種で懸念
新潟県によると、「こしいぶき」など早生品種は、高温で刈り遅れが懸念されることから、収穫開始を積算温度の目安から50度(2日程度)ほど早めるよう周知している。茎葉や穂軸が青くてももみが成熟している場合があるので、もみ色はよく観察する。中生の「コシヒカリ」も、高温が続けば収穫期が早まる場合があるとし、今後の気温経過に注意を呼びかける。 適期収穫へ各県は、コンバインや乾燥機の点検を早めて準備を進めるよう周知している。昨年、収穫時期が1週間ほど早まった宮城県は、今年も早まると見通し、JAグループの担当者らを集めた27日の会議で、準備の前倒しを確認する予定。県内JAによると「昨年並みの収穫時期を予想し、カントリーエレベーターや倉庫の準備を早めている」という。 青森県では人工衛星で撮影した稲の色を基に、田1枚ごとに収穫適期を示す「青天ナビ」の活用が進む。農家はスマホなどから青天ナビのウェブサイトにアクセスし、収穫適期を色分けした地図が見られる。県によると、昨年活用した農家からは「ナビ通りに早く収穫してよかった」との声があったという。 (玉井理美)
日本農業新聞