柴田恭兵「70歳過ぎてますからね。走るの、遅くていいんです」舘ひろし「もっとモテればいいな」二人が『あぶない刑事』で本当に伝えたいこと
同世代に伝えたい「俺たちはまだやってるぜ」って
――今回、新たなファンも増えそうです。 柴田「試写を観たときに“楽しかったね。面白かったね。おいしいもの食べて帰ろうか”と、そういう映画になったと思うことができました。『あぶ刑事』のファンでなくても、全く知らない人でも“絶対楽しいですよ”“こういう映画もありますよ”と、観てほしいなと思っています。 あと僕はこの『あぶない刑事』を始めたとき35歳だったんですけど、そのとき、同世代に向かって“今、柴田恭兵はこれをやっています。みんな応援してくださいね”という気持ちでいました。上も下も関係ない。同世代、35歳に向けて。いま僕は72歳になりました。正直に言うと、今も同世代に向かってやっています」 ――同世代に向けて。 柴田「舘さんもきっとそうなんじゃないかなと思うんです。“俺たちは元気でやってるよ。みんなも元気でやろうね。映画を観て元気になってね。俺たちはまだやってるぜ“って。それをどこかで伝えたいなと思って、ず~っとやってきたんだと思います。何本も映画をやってきましたが、僕はいつでもどこかで、自分と同じ世代の人に向かって、“今僕はこんなんです。みんなも頑張ってね”と言ってきた気がします」 舘「それにしても今こんなにバンバン拳銃を撃つ映画ってないよね(笑)。車はひっくり返るし。そういう意味では、逆に今となっては若い人にもユニークな映画かな」
70歳を過ぎてもCGなし!
――同年代に向けて真摯でいる姿勢が、また新たなファンを獲得していくんですね。 舘「ウケればラッキーですね」 柴田「ね。(舘さん)元気でしょ」 舘「もっとモテればいいな。下心満載!みたいなね(笑)」 柴田「70歳過ぎてますからね。走るの、遅くていいんです。アクション、負けていいんです。だってスーパーマンじゃないんだから。僕たちはあえて、CGを使ったり、ワイヤーアクションとかもやっていません。ちゃんと頑張って動いてます。もちろん昔ほど動きにキレはないし、走ったら遅いです。でも一生懸命やってます。舘さんに“老けたな”って言ってくださいって、アドリブで言ってもらったんです」 舘「言ったよね。“老けたな、ユージ”って(笑)」 本編途中、激しい銃撃戦が登場する。そこでタカとユージはアクションを披露。「老けたな」とぼやく。『あぶない刑事』は全編にわたりアドリブが満載だというが、銃撃戦のさ中に繰り広げられるクスっとするそのやりとりもアドリブだったとは。さらに、それでも敵に立ち向かう姿には、同世代へのエールが込められていた。ちなみに年齢をぼやくタカ&ユージのやりとりにはつい笑ってしまうものの、正直、年齢を増してさらにかっこよくなったようにしか見えない。 舘ひろし(たち・ひろし) 1950年3月31日生まれ、愛知県出身。76年に映画『暴力教室』で俳優デビューを飾る。ドラマ『西部警察』をきっかけに石原プロに入社する。36歳の時に『あぶない刑事』のタカ役でブレイク。18年には『終わった人』で第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞を受賞した。近年の主な映画出演作に『アルキメデスの大戦』『ヤクザと家族 The Family』、土方歳三を演じて話題を呼んだ『ゴールデンカムイ』など。現在、ドラマ『ブルーモーメント』に出演中。 柴田恭兵(しばた・きょうへい) 1951年8月18日生まれ、静岡県出身。1975年に劇団「東京キッドブラザーズ」に入団。1986年、ユージを演じたドラマ『あぶない刑事』でブレイク。ドラマ『はみだし刑事情熱系』『ハゲタカ』など、さまざまな作品で演技派として認められている。主な出演映画に『野蛮人のように』『福沢諭吉』『集団左遷』『半落ち』『北のカナリアたち』など。今年2月から放送されたドラマ『舟を編む ~私、辞書つくります~』での演技も支持を集めた。 望月ふみ
望月ふみ