関西・多くのスター輩出する「大衆演劇」その魅力とは
大衆演劇・伝統の「女形」
ところで、大衆演劇には必ず女形が登場するが、これは伝統で変えられないという。「女形のステージがなかったら、手抜きって言われる。今日はやる気がなかったんかって。女形をせずにいくらこだわった演目をしても、評価につながらない」と大川さん。 それを踏まえ、舞踊の構成はパターン化せずに飽きさせない工夫を凝らし、毎日出し物を変える。「芝居、歌、踊りとありますから、前の晩にかなり練習しています。1日の公演が終わった瞬間に頭を全部真っ白にして稽古の時にはあくる日のものを入れていきます」 劇団員は現在16人。ステージを観て入団するケースが多いというが、今の若い人たちにとっては、休みがないのが辛いようで、劇団員はそれほど増えてはいないという。
ファン楽しみの「送り出し」で元気にしていきたい
また、大衆演劇はとくにお客との距離が近く、終了後は「送り出し」(外で観客を送り出す)があり、この時にツーショット写真などを撮る女性たちも多い。 「皆さん、送り出しを楽しみにしておられます。舞台を観て元気になったと言ってくださる方も多い。“大川クリニック”というか、3時間の公演でこれからもお客さまを元気にしていきたい。現状に安住せずに新たな道を追求していきたい」と、大川さんは熱いメッセージを送る。 大衆演劇のファンだという50代女性は、「3年くらいかけていろいろ観て回ったんですけど、良太郎さんが一番好きですね。芝居がうまい。人気にあぐらをかいてはらへん。とくに女形がいい、長し目がいいです。小さい頃、梅沢富美男さんを初めて見て、大衆演劇のファンになりました。今月は良太郎さんを10回は観に来る予定です」と、嬉しそうだった。 (文責/フリーライター・北代靖典)