JRA（2021年撮影）

　JRAが大事にしてきた公正競馬のための“公正確保”が揺らいでいる。 　昨年5月、若手騎手6名が騎乗控室にスマートフォンを持ち込んだ件で30日間の騎乗停止処分が課された。さらに今年6月には水沼元輝騎手（21＝加藤和）が偽装工作によるスマホ持ち込みで今なお9カ月の騎乗停止処分を受けている。 　先月23日に行われたJRAの会見では若手騎手を中心に個別でコンプライアンス等の研修を行っていたと説明していたが、現状では効果はまったく見られていない。 　9日、今回発覚した永野騎手、小林勝騎手の件で説明を行った赤井誠公正室長は「再発防止対策は進めていた中でこういうことが起きてしまいました。2台目、3台目の持ち込みは危惧していたが、現時点で（対応策が）ないので、考えていかなければいけないと思っています。結果的にこういう自体を招いているので、教育プログラム、研修体制も十分ではなかったと思っています」と語った。 　説明会の中では、さらなる罰則の強化、施設内における通信環境の遮断などは現時点で予定していないことが伝えられた。JRAはこれまでも個人個人の意識に委ねてきた。 　昨年5月の問題発覚後、あるベテラン騎手は肩を落としていた。「レースの前日の夜だったり、当日だったり、臨場できていない調教師と電話で直接話して打ち合わせができたらいいな、といつも思ってきました。不正なんてしようと思っていない。いい競馬をするため、いい騎乗をするために、みんなでルールを守りながら少しずつ、少しずつ、ルールを緩和していければと思って、競馬会（JRA）と騎手クラブで話し合いだって行ってきていたけど、ルールを守らない人間が出てしまっては、話し合いにはならないです」。