【長崎】被爆者の朝長万左男医師(81)がノーベル平和賞フォーラムで証言
NCC長崎文化放送
日本被団協へのノーベル平和賞の授賞式が行われたオスロで11日、長崎の被爆者で医師の朝長万左男さん(81)が平和賞フォーラムに登壇しました。 【写真】被爆者の朝長医師がノーベル平和賞フォーラムで証言
被爆の実相や放射線の影響、核兵器の非人道性などを世界に訴えました。 授賞式の翌日に開かれた「ノーベル平和賞フォーラム」。ノーベル平和賞受賞者や世界の核政策の第一人者らが、核戦争のリスクを軽減し、核軍縮に向けて前進するための戦略などを話し合うものです。 被爆体験を英語で証言できる広島の被爆者小倉桂子さん(87)と長崎の被爆者で医師の朝長万左男さん(81)が招かれました。 朝長万左男さん(81): 「母は、崩れた屋根の下で私を見つけ無傷だったので、母は私と家の外に出て近くの神社に逃げた」 朝長さんは2歳の時、爆心地から2.5キロ、中町教会の近くの自宅で被爆。半世紀以上にわたって、放射線が、白血病やがんを引き起こすメカニズムの研究や被爆者医療に尽くしてきました。 朝長万左男さん(81): 「50年、60年、半世紀以上経っても原爆による放射線は被爆者の幹細胞で生きている」 来年は被爆80年。被爆者の平均年齢が85歳を超え、「被爆者のいない時代」が近づく中、朝長さんは世界に核兵器の非人道性を訴え、特に若い世代に向けて核兵器のない世界の実現を呼び掛けました。 朝長万左男さん(81): 「若い世代は、我々被爆者の努力によって得た結果を待つべきではない。若い世代自身で核のない世界をつくらなければいけない。若い世代は、国を超えて核保有国であろうと非保有国とであろうと共に協力すべき」 ノーベル委員会は「原爆被爆者は、貴重な医学的証拠を提供することで長年貢献し、核兵器の非人道性を証明した」「それは人類全体にとって不可欠なものだ」としています。 朝長万左男さん(81): 「今のままで若者が核廃絶の自覚を欠いたまま若者世代が20年30年時間を費やしていくと、僕はもう核兵器は廃絶出来ないと思ってます。出来ないだろうと。原爆の影響が最初の強烈な致死力の高い残虐な兵器の使用でたくさんの人が亡くなったということと、生き延びた人がそれを生涯、放射線の影響を引きずっていくということ、この二つがセットになって初めて原爆の人体影響というのが理解出来る。それが一つ。それを理解したうえで将来核のない世界をつくるにはどうしたらいいかということをもうひとつ議論して、やっぱり若者世代がそのことをしっかり理解して『やっぱり核兵器は捨てるべきだ』というコンセンサスを自分たちの世代で共通のコンセンサスを形成して国を超えて世界の連帯を実現するということ以外に将来の核のない世界の実現のスタートはあり得ないと思いますね。このノーベル平和賞受賞はそのきっかけをつくるんじゃないかなと思うんですね。ノーベル委員会の期待は被団協プラス全ての被爆者が今後そういう活動をもう一回やってくれと、特に核兵器国の首脳に対してそういうのをやってくれという課題だから、具体的にどういうことを今後していくかと真剣に我々被爆者は考えないといけないと思うんですよね。これまで『核のタブー』を形成するのに貢献したのが半分のノーベル賞の価値でしょ。あとの半分はこれからに懸かってると思うんですよね」
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