スピッツ、BUMP OF CHICKEN、アジカン、back number……猫の日に“猫ソング”を集めてみた
■ヤバイTシャツ屋さん「ネコ飼いたい」(2016年) 歌詞を見る限り、猫を飼いたい気持ちを発露させまくったパンキッシュな歌のように思える。そんなヤバT屈指の猫ソング。「ネコ」という音の登場率で言えば、今回の記事でピックアップした楽曲のなかでもぶっちぎりである。しかしながら、〈猫〉ではなく、〈ネコ〉と表記することで、必ずしもここで歌われる〈ネコ〉が、一般的な“猫”を指しているのではなく、何かしらの暗喩になっている余白を残しているようにも捉えられなくはない楽曲となっているのがポイント――のような……気がしなくもない。 ■DISH//「猫」(2017年) 2017年にリリースされた楽曲ではあるものの、令和の猫ソングと言えば、「THE FIRST TAKE」を経てヒットした、この楽曲を想起するリスナーも多いのではないだろうか。あいみょんが作詞作曲を手掛け、近年のヒットチャートのなかでも大きな話題となった、DISH//のヒットソングだ。切ない歌詞でありながらも、どこか明るさも感じさせる不思議なトーンで構成された楽曲で、一度耳にすると、そのメロディが何度も頭のなかを駆け巡る。また、歌詞、ボーカルともに高い表現力で、楽曲を聴くことで、猫っぽい“君”の様子がくっきりとイメージできるのもポイントだ。 ■水曜日のカンパネラ「招き猫」(2022年) 「エジソン」とダブルA面として発表された楽曲。当時、「エジソン」にスポットが当たることが多かったが、この歌も水曜日のカンパネラらしさ――言ってしまえば、ケンモチヒデフミ節が炸裂している楽曲である。コミカルさと軽快さを感じさせるビートのなか、たしかに猫の描写がふんだん記述されているはずなのに、必ずしも具体的な猫像が見えてくるわけではない不思議なテイスト。ふわっとしたイメージのなかで、ふわっとした猫像に包まれながら、脱力感のある世界観に招き入れられる。 ■OKOJO「猫舌」(2023年) 新鋭バンドの楽曲として、昨年リリースされたOKOJOの猫ソングも紹介したい。爽やかで疾走感のあるバンドサウンドに乗せながら、キャッチーなメロディが送り込まれていく。僕と君の生活がまっすぐに見える楽曲であり、数ある猫のモチーフのなかでも、〈猫舌〉の部分を使ってふたりの関係性を描写する視点がいい。また、歌に出てくる“僕”と“君”の距離の近さが絶妙で、心地好い気分で楽曲世界に浸ることができるのも、この歌の魅力のひとつである。 ■キュウソネコカミ「ネコ踊る」(2012年) ここまでリリース順に紹介してきたが、最後にはやはりキュウソネコカミのインディーズ時代の名曲で締め括りたい。描写という概念を超越して、浮遊感のあるサウンドと、時折響く鳴き声のみで、言葉以上に猫の姿を歌にしてみせる、最強の猫ソングである。 “猫ソング”と一口にいっても、いろいろな歌がある。メロディ展開やサウンドアプローチはもちろんのこと、登場する猫のあり方や、猫の描き方も、楽曲によって大きく変わる。ただ、傾向を挙げると、猫=マイペースで自由気ままな存在、としている曲が多いように感じた。そういう共通イメージを持てるほど、多くのリスナーにとって身近な動物であるという表れなのかもしれない。ぜひ楽曲のなかで“猫”がどういう描き方をされているのかに直目しながら、猫の日に猫ソングを味わってほしい。
ロッキン・ライフの中の人