カジュアルな瓦小物が並ぶ店内＝23日午後、静岡市清水区

　静岡市清水区の巴川流域でかつて一大産業として名をはせた伝統工芸「清水瓦」をもっとカジュアルに親しんでほしい―。若き女性鬼瓦職人（鬼師）の思いが詰まった瓦小物専門店「長沢瓦商店nagasawa＿shimizu　kawara」が26日、同区能島に開店する。武骨な印象の瓦を現代風にアレンジした小物の販売や瓦製作体験を通じ、女性層を中心とした新販路を探る。 　清水瓦の歴史は、江戸時代に駿府城築城で集まった瓦職人が巴川流域の粘土を使用したことに端を発する。生活様式の変化などで窯元が漸減し、50年前の七夕豪雨による被災が衰退に拍車をかけたとされる。 　店内では、瓦の吸水性を生かしてオイルや香水を染みこませるアロマストーンや鬼瓦をモチーフにしたイヤリング、従業員発案のヘアゴムなどが並ぶ。体験工房には、独特の色合いに焼き上げる「いぶし」工程も可能な自社窯を備え、作品製作が楽しめる。 　2019年に家業の長沢瓦商店に入り、県内唯一の女性鬼師となった長沢玲奈さん（25）は「質感や通気性など瓦の多様な魅力を周知し、将来的は屋根材に利用してもらえるようPRしていきたい」と語る。 　店舗は日、月曜定休。問い合わせは同店〈054（345）6369〉へ。