1安打完封で監督賞予感も…衝撃の説教30分 予想外すぎたV9戦士の対応「えーっ」
土井正三監督の「巨人では」に敏感だったオリ選手
土井監督は説教のつもりではなかったかもしれない。なにしろ話が長いことで知られていた。「その時も『カウント2-2までいっただろ、あれな、もう1回真っ直ぐいくような感じでフォークを投げればよかったんだよ、そしたらノーヒットノーランだった』とか言われましたね。その真っ直ぐを投げるふりのやり方を教えてほしいって思いながら聞いていましたけどね」と思い出し笑いだ。 星野氏はさらにこう続けた。「キャンプの休みの日に中嶋(聡捕手)と2人で昼間にお茶飲んでいたんですよ。で、そろそろ帰ろうかって立ち上がった瞬間にパッと見たら土井監督がいたんです。それまで横に壁があって見えなかったんです。『やばい、監督いるぞ』って言っていたら見つかって『俺にも一緒にお茶飲ませてくれよ』って。そっから1時間、話が終わりませんでした。内容は覚えていませんが、野球の話だったと思いますけどね」。 土井監督はミーティングでよく巨人時代の話をした。「これはパ・リーグのやっかみだったかもしれないけど、土井さんが『巨人では』『巨人では』と言うことに敏感だった(オリックスの)選手も多かったかなぁっていうのはありましたね。でも、考えてみれば土井さんはそれまでずっと巨人だったので、昔の話は巨人のことしかなかったんですもんね」と星野氏は話す。もちろん、土井野球で勉強になることもたくさんあったそうだ。 「守備でゲッツーの取り方とか、トスの上げ方とか“上手だな、なるほどな”ってね。ピッチャーから見ていても、そっちの方がダブルプレーを取りやすいってわかりましたし、やっぱりさすが巨人でV9している人だなと思いましたよ」。しゃべりだしたらなかなか止まらない。それこそ野球の話はどれだけでもしそうだった土井監督も星野氏にとっては印象深い指揮官だ。
山口真司 / Shinji Yamaguchi