違法繁殖施設からトラたちを救う タイ史上最大規模の救助作戦
タイ東北部のムックダーハーン県で12月16日、タイ野生生物フレンズ財団(WFFT)の獣医師および野生動物の専門家らが、違法繁殖施設で飼育されていた53頭のトラとヒョウたちを救助した。 WFFTはこの取り組みを「NGO(非政府組織)によるタイ史上最大のトラ救出作戦」と説明した。 WFFTの創設者エドウィン・ウィーク氏は、「動物たちはこれから生まれて初めて自由を手にします。日の光を浴び、草の感触を足に感じるでしょう。すべての動物は、自由を得る権利があります」と話した。 今回保護されたトラ35頭とヒョウ18頭のうち、治療の緊急度が高い12頭のトラと3頭のヒョウがまず救出されたという。 ウィーク氏は、「一刻も早く残された動物たちを助け出したいが、NGOは政府からの資金援助を受けておらず寄付金だけに頼っています。可能なら寄付をして、この施設から残りの動物たちを救ってください」と訴えた。 この悪名高いトラの繁殖施設は、政府の野生動物保護当局との間で長期にわたって法的紛争が続いている。 地元メディアによると、この施設は何度も政府による査察が実施されているという。2020年には、国立公園・野生動物・植物保全局(DNP)により、切断されたトラの頭部や他の部位など、野生動物の違法な密売が疑われる証拠が見つかっていた。 この施設はタイと共産主義国ラオスとの国境近くにある。 この地域はメコン川沿いにあり、非公式の桟橋が複数あることから、野生動物の違法輸送の拠点と考えられている。 WFFTによれば、タイには推定1700頭のトラが飼育されているという。その多くはトラの繁殖施設で飼育され、エキゾチックなペットとして近隣諸国に出荷されているという。トラの目や骨、ひげなどの部位は、物議をかもす伝統的な漢方薬にも使われている。 (タイ、ムックダーハーン県、12月22日、映像:Viral Press/アフロ)