“実家の味”いつでも、いつまでも…卒園生に「給食パスポート」 春日部の児童養護施設、子への思い形に
親を頼れない子どもたちは社会に巣立つ際、苦労が絶えない。住居の賃貸契約や就職時には保証人が必要となるため、社員寮付きの仕事を探すことが多い。どうしても保証人がいない場合は施設長が引き受けることもある。 大井さんは「一般家庭と比べて社会に出たとき、非常に厳しい。施設で雨風をしのいだり、ある程度お金がたまる間まで滞在するとか、どんどん利用してほしい」と語り、苦境に立たされる子どもたちに大人が手を差し伸べることの大切さを説く。 過去の経験から人を頼ること自体に警戒心を持っている子どもも多い。「子供の町とのつながりを感じてほしい。実際に食べに来てくれなかったとしても、パスポートを渡すことで『いつまでもつながっているんだよ』というメッセージを伝えたい」と坂本仁志施設長(63)。斉之平理事長は「パスポートがあることで気軽に来園しやすくなる。他の施設でも同様の取り組みが広がってほしい」と話した。