米住宅取引に変化の兆し、全米不動産業者協会が手数料巡る訴訟で和解
(ブルームバーグ): 全米不動産業者協会(NAR)は15日、不動産仲介業者の手数料ルールを巡る訴訟で和解案を受け入れた。米国人の住宅売買に変化がもたらされる可能性が出てきた。
和解案は住宅の所有者と購入者に重要な転換を意味する。手数料に関して仲介業者間で行われる意思伝達のやり方が変わり、手数料の低下につながり得る。
スティーブン・シェルドン氏らウィリアム・ブレアのアナリストは「変更は買い手側が仲介業者に支払う手数料への圧力を高める可能性が高く、短期的には住宅取引全般で手数料の低下傾向を助長し得る」と15日のリポートで解説した。
約150万もの会員を抱えるNARは、和解に基づき約4年をかけておよそ4億1800万ドル(約623億円)を支払う。和解案は裁判所の承認が必要だとNARは文書で説明した。ブローカー手数料のモデル規定をどのように構築したかについて、NARは不正があったとの見方を引き続き否定している。
NARを相手に提起されている複数の訴訟では、住宅の売り手が支払う手数料(6%が一般的)を、売買双方の仲介業者で分ける報酬構造が争点となっている。この手数料分配の取り決めは、物件を複数の案内サービスに掲示するための前提条件となっているケースが多く、売り手にとってこれを避ける手立てはほぼない。
15日に発表された合意の一環として、仲介業者は手数料の提示と物件案内の掲載を切り離すことになる。また買い手側の仲介業者は顧客と書面で契約することを新たに義務付けられる。ルール変更は7月に施行されるという。
ミズーリ州の裁判所は昨年、NARなどが仲介業者の手数料を高く維持するために共謀したとして、18億ドルの評決を下した。15日の規定変更はこの訴訟におけるNAR会員の大半に対して責任を免除し、他に継続中の複数の訴訟でも同様の措置が取られる。
不動産ウェブサイト運営大手のジロー・グループは株価が13%下落して引けた。不動産仲介のコンパスやエニウェア・リアル・エステート、レッドフィンも株価が大きく下げた。