【イベントレポート】「アット・ザ・ベンチ」森七菜、今田美桜との共演は“嵐”だった 膨大なセリフと奮闘
オムニバス映画「アット・ザ・ベンチ」の劇場拡大記念イベント第2弾が、東京・テアトル新宿で12月21日に行われ、第3編に出演した森七菜、撮影を担当した今村圭佑、監督の奥山由之が登壇した。 【画像】姉妹を演じた今田美桜と森七菜 「アット・ザ・ベンチ」は写真家としても知られる奥山が、変わり続ける街・東京を舞台にさまざまな人物の思い出の時間を紡ぎたいという願いから始めたプロジェクト。二子玉川の川沿いに佇む古ぼけたベンチを舞台に、人々の何気ない日常が切り取られていく。11月15日に東京・大阪の3館で上映がスタートし、今後全国60館での順次拡大上映が決定している。 劇作家・根本宗子が脚本を手がけた第3編では、今田美桜が演じる家出をした姉と、森扮する妹が互いに感情をむき出しにしながら、激しい言い合いをするさまが描かれる。膨大なセリフ量と激しい動きによって展開されるため、森は「何よりもセリフを覚えるのが大変でした」と述懐。カメラマンとして芝居を間近で見ていた今村が「台本と同じことを言っているのかもわからないようなテンションだったから。アドリブが入っているのかもわからなかった」と振り返ると、奥山は「完成した作品を観返してみたんですが、ほぼ脚本そのままだった。あれだけ感情的かつ身体的にも激しい動きのあるような、うっかりすると制御が効かなくなる長回しを、丁寧に演じきることは本当にすごいことだなと思いました」と称賛する。 そんな2人の言葉に「美桜ちゃんが言葉の発端を作ってくれたんで。私はそれに付いていくだけで。ある意味コバンザメみたいな感じでした」と笑う森。全編を通して観ると「私たちが普通だと思って叫んだりしながら演じていたんですが、実は全体の中であんなに嵐(のエピソード)だったとは。ほかのチームと比べても異質な感じがして。それはすごくうれしかったです」と感じたという。 奥山は森の演技について「現場では小さなモニタで確認していたので、細かいところは気付かなかったんですが、編集時にじっくりと見返すと、例えば姉の言葉を聞いているときにものすごく胸を打つ表情をされているんですよ。目の微細な動きなども本当に引き込まれるものがあって。改めて素晴らしいお芝居をしていただいた」と熱弁。さらに「森さんのお芝居って常に流動性があるというか、不確実性に満ちている感触が、人物に実在感と説得力を持たせていて。スクリーンから目を離せない理由の1つだと思う」と続ける。今村も「そういうの感じますよ。自分たちが想像してないことをしてくる。だから流動性を感じられるんですよね」と深く同意し、「今回はどちらかというと受ける役柄じゃないですか。ちょっと前なら逆だった。発散する側の役が多かったと思うんで。大人になったなと思って。謎の親戚のおじさんのような気持ちでいます」としみじみ付け加えた。 「アット・ザ・ベンチ」はテアトル新宿ほかで公開中。森のほかに広瀬すず、仲野太賀、岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々、草なぎ剛、吉岡里帆、神木隆之介が参加している。 ※草なぎ剛のなぎは弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記 (c)2024 Yoshiyuki Okuyama/Spoon Inc, All Rights Reserved.