朝鮮人虐殺、犠牲者を追悼 熊谷知事、初めて弔電 関東大震災101年 船橋で150人参列、差別ない社会実現へ
関東大震災から101年を迎えた1日、発災後に広がった流言などから自警団らに虐殺された朝鮮人らを悼む式典が、千葉県内など各地で開かれた。殺された朝鮮人約100人の遺骨が眠る、船橋市の馬込霊園での追悼式には約150人が参列。悲劇を繰り返さないため、国籍による差別のない社会の実現を願った。 追悼式の実行委によると、震災後にデマが広がり、県内では300人以上の朝鮮人が虐殺され、船橋市は特に被害が大きかったとされる。 追悼式には熊谷俊人県知事と船橋、八千代、習志野、市川、鎌ケ谷の5市長が弔電を送った。実行委によると、馬込霊園での追悼式に熊谷知事が弔電を寄せるのは今回が初めて。 追悼の辞で実行委の呉学成(オ・ハクソン)さん(64)は「朝鮮人たちはなぜ殺されなければならなかったのか。犠牲になった方々の尊厳が回復される日は必ず訪れる。新しい世の中を切り開いていくことを誓う」と述べた。 参列した日朝友好千葉県の会の共同代表、池沢みちよ船橋市議(57)は「朝鮮人虐殺(という事実)への理解は少しずつ進んできている。歴史についてみんなで考えていけるようにしたい」と話した。朝鮮大学校の3年生、尹朱遠(ユン・チュウォン)さん(21)は「殺された朝鮮人が多数いた事実を私たちが記憶し続けなければ」と話し「朝鮮人も日本人もそれぞれのアイデンティティーを尊重し合える社会にしたい」と訴えた。 式後、呉さんは「虐殺から101年が経過したが、朝鮮学校の高校無償化制度除外など朝鮮人への差別は変わらず存在している」と強調し「過去の歴史を十分に理解し、誰もが分け隔てなく付き合えるようになってほしい」と力強く呼びかけた。