「車いすで上がれない…」体育館の改修後に約2センチの「段差」 県は「適合」 沖縄市の県総合運動公園内
【沖縄】沖縄市の県立総合運動公園体育館で、2023年11月に完成した体育館フロアの床材の張り替え工事後、工事前にはなかった2センチほどの段差ができている。利用者からは「危険だ」「車いすで上がれない」など、新たにできた段差に不満の声が寄せられている。障がい者などを支援するNPO法人バリアフリーネットワーク会議の親川修代表は、県の福祉のまちづくり条例との整合性についても疑問を示している。 【写真】実際の段差のアップ 高さを測ってみると
段差ができたのは、同体育館の床材を耐久性などが優れるシート状の素材に張り替える工事後。シート自体の厚みに加え、シートの下に反発性などを出すための板材を敷いているため、工事前より床が高くなったという。工事前、板材の床の周囲はコンクリート素材の床となっていた。今回のシートへの張り替え工事は床の板材部分のみだったため、張り替え後にコンクリート部分と板材の間に段差が生じた。 県は段差の高さは1・9センチと確認している。 工事所管課の中部土木事務所は、福祉のまちづくり条例の施設整備マニュアルで「出入り口の建具などの関係で段差が生じる場合であっても2センチ以下とし、すり付けたり角に丸みを付ける」との項目を根拠に、条例に適合していると判断した。フロア内部の段差がある所が、そもそも出入り口に当てはまるのかについては「車いす利用者が、段差を登るという場面があればそこが出入り口だと考えられる」と解釈しているという。県の主張に対し、親川代表は「拡大解釈だ」と指摘している。
バリアフリーネットワーク会議には現在までに利用者から「なぜ工事後に段差ができているのか」との意見や、車いすで上る際に苦労する様子の動画などが送られてきているという。 新築や大規模修繕工事と異なり、今回のような修繕工事の場合、事前の建築確認申請がなく、条例の適否を判断する機会はない。県の都市公園などを管理する都市公園課によると、建物内の段差はなくしていく基本方針で、この設計が新規設計で申請された場合は、認められない基準という。 段差のすり付けの角度が急なことも指摘されている。中部土木事務所は利用者の声などを受け、県都市公園課と協議のうえ、より角度が緩やかなすり付けの素材への変更などを検討するという。 (福田修平)
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