「50年以上を過ごした時計界でのキャリアの“最後の5分間”に、これからのすべてをかけます」 ジャン=クロード・ビバーさん、この人の時計ならぜひ腕にしてみたい!
「この世から旅立つまでずっとつくり続けたい」という情熱が凄い!
スイス高級時計界のレジェンドが、自らの名“BIVER”を冠したミニッツリピーターを手に来日。銀座の時計店、アワーグラスで話を聞いた。 【写真4枚】75歳になった希代の“ウォッチ・ガイ”、 ◆ブランドの第一作をミニッツリピーターにした理由とは? 「時計は私の魂、情熱そのもの。この世から旅立つまでずっとつくり続けたい。いつまでも元気で発想豊かでいたいし、子供たちや時計界にもレガシーを残したい。50年以上を過ごした時計界でのキャリアの“最後の5分間”。その中での時計づくりに、これからのすべてをかけます」 会う人を魅了する笑顔と熱い語り口は健在。14年ぶりに膝を交えて話した“御大”は、以前にも増して意気盛んだった。自分の名を冠したブランドの第一作をミニッツリピーターにしたのはなぜ? と問うと、相変わらず明確なキーワードを織りまぜ答える。 「製作が最も難しい超複雑機構を持つからです。最初に最も困難なものに挑戦したかった。“Proud of Finishing(仕上げへのこだわり)と“Invisible Visibility&Quality(見えない可視性・上質さ)”を追究。外装や文字盤はもちろん、見えないムーブメントの部品に至るまで徹底的に作り込み、磨き込み、品質にこだわった、まさに入魂の一本です」 ムーブメントは一人の職人が組み立てや仕上げ、調整を担当し、誰の作かが分かる固有の番号が地板に穿たれる。18~19世紀の懐中時計師が、誇りを持ってムーブメントにサインしたことに倣ってのナンバリングだという。「ゴングとハンマーは三つ備え、従来にはない斬新で妙なる音色を奏でます。どう、いい音でしょう?」と、耳に心地よい澄み切った音色で時・分を告げる実機を鳴らしてみせ、ご満悦の様子。 文字盤はソーダライトとシルバー・ラピスラズリ(銀黒曜石)の2種類。これは「エネルギー・波動を持つ素材」という視点から選ばれた。トゥールビヨンのケージは装飾が難しいチタン製で、モダンな形状のブリッジを備える。 デザイン、設計、製作、マーケティングなどのあらゆる仕事を、現在第一線で活躍している長年の友人知人が進んで手伝ってくれている。高級時計業界を牽引してきたビバーさんの人脈・人徳ゆえだ。また、歴史のある時計を愛する22歳の息子、ピエール・ビバーさんが“BIVER”の時計づくりや経営を共に担う。 「カリヨン・トゥールビヨン・ビバー」は今春発売される。秋には、同様に魂と情熱を込めたシンプルな3針モデルもお披露目される予定。クロノグラフや、永久カレンダーを備える時計製作の構想も具体化しているという。 75歳になった希代の“ウォッチ・ガイ”。その情熱・活力と創造性からまだまだ目が離せない。 文=数藤健(ENGINE編集部) 写真=JC BIVER S.A. (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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