藤井聡太竜王が八冠陥落…叡王戦で伊藤匠七段に敗れる、全八冠独占は254日間
初のタイトル戦敗退…伊藤新叡王は初のタイトル獲得
将棋の第9期叡王戦五番勝負(不二家主催)の第5局が20日、甲府市で行われ、挑戦者の伊藤匠七段(21)が156手で叡王を保持する藤井聡太竜王(21)(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)に勝ち、シリーズ3勝2敗で初タイトルとなる叡王を奪取した。藤井竜王は昨年10月11日から254日間、将棋の八大タイトル(八冠)を独占していたが、七冠に後退した。1996年に当時の全七冠を独占した羽生善治九段(53)は、168日間保持していた。
藤井竜王がタイトル戦で敗退するのは初めてで、自身の持つタイトル連続獲得の歴代最多記録は22連覇で止まった。
この日の対局は振り駒の結果、藤井竜王の先手で始まった。得意戦型の角換わりに誘導した藤井竜王が中盤までペースを握ったが、粘り強く食い下がった伊藤七段が終盤で逆転し、3度目のタイトル挑戦で念願の初戴冠(たいかん)を果たした。
終局後、伊藤七段は「藤井八冠戦は苦しい戦いがずっと続いていたので、一つ結果が出せて良かった」と表情を緩ませた。藤井竜王は「(八冠陥落は)時間の問題だと思っていたのであまり気にせず、また頑張っていきたい」と、さばさばした様子だった。
新叡王となった伊藤七段は、藤井竜王と同学年で、小学生の頃から将棋大会でしのぎをけずってきた。藤井竜王より4年遅い2020年にプロ入り。21年度に勝率1位(8割1分8厘)となり、昨年の竜王戦と今年の棋王戦で挑戦者となった。