船はまだ港に係留できず「支援が来ない」 地震から5カ月近く経っても漁師の悲痛な叫びは続く
能登半島地震では、石川県内で9割の漁港や港湾が被害を受けました。 船だまりなどが損傷した珠洲市の飯田港では、国による修復作業がようやく完了しました。しかし、漁師の先行きへの不安は募ったままです。 【写真を見る】船はまだ港に係留できず「支援が来ない」 地震から5カ月近く経っても漁師の悲痛な叫びは続く 濱野慶弘さん「1隻なくなったけど、何とか仕事はできるかなと」 珠洲市の漁師・濱野慶弘さんは、飯田港に係留していた漁船1隻を失い、今は、蛸島漁港でかろうじて残ったもう1隻で漁に出ています。 濱野慶弘さん「去年おととしの地震でやられて、修理しても、その前はコロナで全滅。やっている人の気持ちを考えたらみんな心が折れてしまうわね」 3月下旬から底引き網漁を再開しましたが、震災の影響か、これまで捕れていた水深が深い漁場に出ても、水揚げはほとんどありません。蛸島漁港は今も、段差やひび割れなど地震の爪痕が残ったままです。 震災直後は散乱していた港もいまはきれいになっています。 国土交通省北陸地方整備局は28日、沈没した船やコンクリート片などを取り除き、飯田港の物揚げ場などが利用できるようになったと公表しました。 修復に向けた作業が始まった2月には、行き場を失った自分の漁船が引き上げられる様子を見つめていた濱野さん。あれから3カ月が経ち、船が行き交うはずの港内は、一見すると整ったように見えますが… 濱野慶弘さん「船を置くには向かいの岸壁を直さないと、ここにはおいておけない」「(Q.まだまだ使えない?)使えない」 波消しブロックや防波堤が壊れたままでは、船は係留できないといいます。 さらに、なりわい支援をはじめ様々な支援策が提示される一方で、現場には行き届いていないと訴えます。 濱野慶弘さん「いろんな申し込みしているけどいろんな支援が来ない。申し込みしてから2カ月3カ月たつけど」 いつになれば漁師としての日常を取り戻すことができるのか。必要とする支援はまだまだ遅れているのが、海に生きる人にとっての実感のようです。
北陸放送