大河内小で奉納公演 「花柳劇団」来年2月、初上演 三重・松阪
創立140周年、八雲の奇談「鏡の乙女」を地元で
三重県松阪市矢津町にあった「大河内明神」を題材にした作家・小泉八雲(1850~1904年)=ラフカディオ・ハーン=の奇談「鏡の乙女」を下地にした大衆演劇「花柳(はなやぎ)劇団」(花柳願竜座長、5人)=鎌田町=の創作劇が来年2月、矢津町の市立大河内小学校(宮村嘉奈校長、68人)で初上演されることがこのほど決まった。学校側が依頼し、劇団側も奉納公演という形で快諾した。同校は今年が学校創立140周年。節目を祝う記念行事として同校では「児童だけでなく地域の方にもぜひ見てもらいたい」と呼び掛けている。 「鏡の乙女」は江戸時代の怪物奇談集「鐺日奇観(とうじつきかん)」(1848年刊行)が原典とされる民話。古井戸から現れる「女の鏡の精(弥生)」を巡る奇談だが、荒廃した大河内明神を再興しようと尽力する宮司・松村兵庫の姿も描かれている。 同校では、花柳劇団が郷土史を題材にした〝松阪物〟創作劇の1作目として「鏡の乙女」の脚本を執筆していることを知り、劇団側に連絡。今月7日には劇団の花柳願竜座長=本名・辻勝彦=さん(63)、長女で若座長の花柳竜乃=同・辻麻里奈=さん(29)、次女で花形の香賀峰子=同・辻杏梨=さん(27)が来校し、両者で調整を始めていた。奇談が地域住民のために奔走する宮司の物語でもあり、「ぜひ地元で上演してもらいたい」と求める学校側に、劇団側も「奉納という形で公演したい」と快諾した。 初上演は来年2月8日に同校体育館で。同日午前には学校と大河内地区住民自治協議会(高杉晴文会長、572世帯)が共催で合同防災訓練を実施。午後を公演に充て、児童だけでなく住自協関係者や地区住民らも招くことにした。収容人数の問題から地区外の希望者への公開は検討中。 同校は、原点となる修斎尋常小学校が1884(明治17)年2月に創立され今年が140周年の節目。本年度は学校運営協議会(コミュニティスクール)の本格始動〝元年〟にも当たる。 宮村校長は「子供たちにとって愛着と誇り、物事を探究する力を身に付けることにつながっていけば」と期待した上で、「『地域と共にあり、エネルギーを地域に放つ学校』を目指している。当日は地域の方たちにとってもいい思い出にしてもらいたい。これからも地域と学校がつながっていくスタートになれば」。 同劇団も「怪談として怖いだけの話ではなく、宮司さんが地域のために動いて最後は地域が良くなったといういい話。神社のみ霊のある地元で奉納芝居としてさせていただけるのはありがたい」と話す。