ボクシングの内紛問題決裂で再び法廷闘争へ
JBC(日本ボクシングコミッション)の緊急理事会が23日、都内で開かれ、全日本ボクシング協会が要求した健康管理見舞金(以後、健保金)の使途を明らかにするための調査委員会の設置など6つの議案がすべて否決された。 「ボクサーの権利を守る会」(代表・松尾緑ジム会長)が法廷闘争を用意していることに対して、紛争を避けるため全日本ボクシング協会側が、その取り扱いに疑念がある健保金についての調整委員会の立ち上げや最高裁で不当解雇が認定された安河内前事務局長の復職、理事会入り、浦谷統括本部長の職務停止などをJBCに求めた。 この日の緊急理事会では、それぞれの議案の可否は、すべて採決によって決定され、JBC側は、久代コミッショナー(株式会社東京ドーム社長)、秋山理事長、土屋理事(株式会社東京ドーム元会長)、浦谷統括部長と4人の理事が出席したが、反対意見を持つ理事は、共同通信の編集委員の津江理事、前全日本ボクシング協会会長で大橋ジム会長の大橋氏の2人しかいなかったため、数の原理でことごとく跳ね除けられた。浦谷統括本部長の職務停止を求める議案については、浦谷氏に投票権はなかったが、同数の場合、理事会の議長である秋山理事長に裁量権があり、これも否決されることになった。 また緊急理事会の招集を求めた日本ボクシング協会側からは渡辺会長、新田氏の2人がオブザーバーとして会議に参加したが、投票権はなく意見を言う機会もなかったという。 出席していた理事の一人は、「せめて調査委員会の立ち上げでも認められれば良かったが、これでは協会もボクサーの権利を守る会も納得しないだろう。今後の成り行きが不安だ」と、JBCと協会サイドの間にある溝を埋めることも、疑念を晴らすための解決策も生みだすことのできなかった理事会への不満をぶちあけた。 協会側の動きに理解を示して8月10日に予定していたJBCに対する刑事告訴を延期していた「ボクサーの権利を守る会」の松尾会長は、理事会の決定を受けて、憤懣やるかたなし、といった反応だった。 以下は、松尾会長との主な一門一答。 「ある程度予想はしていたが、久代コミッショナーまで出席して決定されたということの意味は大きい。JBCの最高責任者であるコミッショナートップまでが、健保金の問題を真剣に考えないとなると、私たちは行動を起こすしかなくなった。ただこの決定を受けて、今回、緊急理事会を開くことと、議案の提出を考えてくださった全日本ボクシング協会の方々が、どう対応されるかの様子は見守りたい。ボクシング界として、今月末からは世界戦が続くので、こういう話題でその期間を邪魔したくはない」