全国初の「認知症チャットボット」導入へ、京丹後市が来年度に
京都府京丹後市が来年度から、認知症のある人や家族の支援ツールとして生成人工知能(AI)を活用した自動会話(チャットボット)を導入する。認知症に関する相談に特化したチャットボットの導入は全国初という。市の担当者は「相談しやすい環境を整備することで、早い段階で適切な対応につなげることが可能になり、認知症の改善や進行防止などが期待できる」としている。 【表でみる】認知症の年齢別有病率の推移 認知症を抱える本人の視点で率直な気持ちや困りごとを語った『認知症世界の歩き方』の著者で、慶応大大学院特任教授の筧裕介氏と共同で開発する。同著の内容をデータベース化し、市の認知症に関する情報、問い合わせ相談対応の情報などをAIに学習させる。認知症のある本人や家族が困りごとや悩みをホームページ上で入力すると、AIが対話形式で必要なアドバイス・情報提供を行う。 市によると、従来の認知症を巡る情報は「寝てくれない」「食事をとってもらえない」といった生活上の問題などを含め、医療従事者や介護者らの視点によるものが中心。患者本人の視点や困りごとに関するものはほとんどないという。 市の担当者は「チャットボットの導入により、患者本人や家族らが抱えている悩みや状況に応じた支援につながる」と説明。「困りごとがあっても、対面では恥ずかしさから相談できないというケースもある。AIが相手ならば気軽にいつでも、遠慮なく打ち明けることができる」と期待している。 チャットボットの運用開始は来年4月を見込む。開会中の市議会6月定例会に提出した令和6年度一般会計補正予算案に必要な予算276万円を盛り込んだ。(橋本亮)