白河准看護学院閉校へ 2026年3月 来春の募集停止 福島県内養成校も入学者減
准看護師を養成する白河准看護学院(福島県白河市)は入学者の減少を受けて来春の学生募集を停止し、2026(令和8)年3月で閉校する見通しとなった。医療の高度化に伴う正看護師志向の高まりなどを背景に、福島県内の他の養成校も入学者が減っており、将来的な募集停止や統合を視野に入れる関係者もいる。一方、養成校の卒業生の約8割は開業医など地元の医療機関に定着するため、医師会などからは「准看護師の減少は地域医療の担い手不足につながりかねない」との懸念の声が上がっている。 白河准看護学院は1953(昭和28)年の設立。これまで1600人以上を県南地方などの医療現場に送り出してきた。ただ、今春の入学者が定員30人に対して4人のみとなるなど近年は学生の減少に直面。運営する白河医師会は今後の在り方の検討を重ねた結果、運営状況の改善を見込めないとして約70年の歴史に幕を下ろす方針を固めた。募集停止と閉校は今月末に開催予定の臨時総会で正式に決定する。同校の担当者は「在籍中の生徒に対しては本校が掲げる目標に基づき教育活動に全力を尽くす」としている。
県内で准看護師の養成課程を持つ、養成校など7校の2024年度の入学者数と2025年度の募集定員は【表】の通り。2010(平成22)年度時点では合計入学者は定員を上回っていたが、近年は全校で定員割れが相次いでいる。今春の全入学者数は90人と、合計定員300人の3割にとどまった。 会津地方のある医師会関係者は「現状のままでは将来、会津地方の養成校も統合や閉校を決める可能性はあり得る」と指摘。「准看護師の待遇面の改善などを進めるべき」と訴える。いわき医師会が運営しているいわき准看護学校(いわき市)は今春の入学者が20人と、定員の4分の1となった。来年度も学生を募るが、斉藤道也会長は「2026年度以降も募集を続けられるかは分からない」と厳しい実情を明かした。 ■医療維持に懸念の声 県によると、国家資格の看護師免許は厚生労働相が発行する一方、准看護師の資格試験は都道府県ごとに行われ、知事が免許を発行する。看護師は自身の判断で患者の療養上の世話や診療補助を行えるが、准看護師は同様の行為を医師や看護師の指示に基づいて行う必要があるなど、業務内容に違いがある。
病院などに勤める場合の多い看護師に対し、准看護師は開業医などの小規模な医療機関で働くケースが多く、地域医療を支える存在となっている。看護師に比べて短期間で資格を取れるため、転職で准看護師を志す人もいるなど、幅広い人材の確保にもつながっている。 県内の准看護師養成校でかつて校長を務めたある男性医師は「各医師会は卒業後に地域医療の戦力になってほしいとの思いで、養成校を運営してきた」とした上で「准看護師が減り続ければ、現状の水準の医療サービスを保てなくなる開業医も出てくるだろう」と危惧している。