藤井聡太棋聖が七冠後退後初対局前日に祈とう あす棋聖戦第3局
将棋の藤井聡太棋聖=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将=が史上最年少の永世称号を懸け、挑戦者の山崎隆之八段と戦う第95期棋聖戦五番勝負第3局が7月1日、名古屋市「亀岳林万松寺」で指される。両者は30日、前日検分と祈とうを行い、前夜祭に参加した。藤井にとっては本局が七冠に後退後、初の対局となる。 祈とう中、藤井はそっと目をつむり、山崎はじっと前を見つめていた。 前夜祭に登壇した藤井は「対局は多くの方に注目していただける対局になるかなと思います。また、地元での対局でもありますので、いい将棋がお見せできるよう全力をつくして頑張りたいと思っています」と意気込んだ。 20日の叡王戦第5局で伊藤匠叡王に敗れ、初めてタイトルを失った経験をした藤井だが、この日は地元愛知での対局を前に、終始穏やかな表情を見せた。棋聖戦シリーズでは現在2連勝中で防衛に王手をかけている。 棋聖4連覇中の藤井は本シリーズを制すると棋聖通算5期となり、永世棋聖の称号を手にする。永世称号獲得の最年少記録は1971年に永世棋聖を獲得した中原誠十六世名人が持つ23歳11か月。7月生まれで現在21歳の藤井が今回永世称号を獲得すると53年ぶりに記録を更新することになる。 一方の山崎も前夜祭の盛り上がりに「かなりの熱量を感じて、こちらも楽しい気分にさせていただいています」とおだやかな表情。15年ぶりのタイトル戦に臨んでいる挑戦者はタイトル戦初勝利をなんとかつかみたい。「残念ながら追い詰められてしまったのですが、調子が悪いわけではない。明日も何か考えるよりも自分のベストを尽くすしかないと心に決めている」と語った。 藤井も山崎も、目の前の対局だけを見つめ、全力を尽くす。(瀬戸 花音)
報知新聞社