知床沖・観光船沈没事故で乗客家族らが集団提訴 運航会社と社長に約15億円の賠償求める 札幌地裁
2022年4月に起きた知床沖の観光船沈没事故をめぐって、乗客家族らが運航会社とその社長を相手取り、3日札幌地裁に提訴しました。 【写真を見る】知床沖・観光船沈没事故で乗客家族らが集団提訴 運航会社と社長に約15億円の賠償求める 札幌地裁 訴えをおこしたのは、知床観光船沈没事故の乗客24人のうちの、14人の家族らあわせて29人です。 乗客家族らは、運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に対しておよそ15億円の損害賠償を求めています。 2022年4月、知床沖で観光船「KAZU1(カズワン)」が沈没した事故では、乗客乗員20人が死亡し、6人がいまも行方不明となっています。 去年9月公表された国の運輸安全委員会の報告書などによりますと、甲板のハッチが密閉されていなかったために海水が入り沈没したとしたみられています。 訴状などによりますと、乗客家族らは安全統括管理者及び運行管理者の桂田社長は、安全管理規程に定められたルールをことごとく軽視・無視してきたことが事故の原因だと主張。 そして、事故当日、甲板のハッチのふたが閉まらない不具合を放置し、出航を中止すべき悪天候の中においても、船を出航させる判断をしたのは注意義務違反にあたるとしています。 訴状提出後の報道陣の囲みで、原告弁護団の山田廣(やまだ・ひろし)弁護士は「亡くなられた被害者の無念の思いとか、ご家族の悲しみや苦しみ、怒りを裁判で訴えていく。ご家族の心は事件があってから止まっている」とコメントしました。 また帯広市に住む乗客家族の男性は「言ってみれば殺人だと思うんですよ。これは事故じゃない。完全に人為的ミス、『事件』なんですよね」と事故から2年以上たった今の心境を語りました。 男性の、当時7歳の長男とその母親はいまも行方がわかっていません。 男性は、この訴訟に遺族として参加するため長男の「認定死亡」の手続きをとりました。 「もう本当に心の底からわらえることはないですし、見ている景色に色がないというか自分の人生あまり意味がなくなってしまったような」 男性は、訴訟に向けて「自分自身がきちんと法廷に来てほしいですね。そしてしっかり自分の罪を認めて責任をとってほしいです」と憤りを込めて訴えています。 また提訴を受けて桂田精一社長は、斜里町ウトロでHBCの取材に応じ「提訴の内容は承知していないが、最善の誠意を尽くして臨んでいきたい」とコメントしています。 なおこの事故をめぐっては、甲板員の両親が、運航会社と桂田社長、そして国と船の検査を行ったJCI(日本小型船舶検査機構)に賠償を求めて提訴しています。
北海道放送(株)
【関連記事】
- ▼「女装した男性の避妊具なしの行為」が事件の発端、瑠奈被告と父親の公判も見すえた攻防…検察「遺体を弄ぶことまで計画、“奴隷扱い”の両親は抗えず」弁護人「『おじさんの頭を持って帰ってきた』で、この世の地獄」
- ▼時速120キロの白バイ警官死亡、トラック運転手に禁錮1年2か月を求刑…警官の妻も法廷に「警官である前に1人の人間なのにバッシング。被告に反省なく厳正な処罰を」
- ▼瑠奈被告「私の首を絞めることが責任だ」父親「私は誰も殺しません。私にはできません」約3年間の“狂乱”の音声データ、証拠として提出…犯行認識は「おじさんの頭を持って帰ってきた」の後、娘に従うしかなかった関係を父親証言へ
- ▼殺害された女子高生に見立てた人形を橋から川に落とし、あらためて実況見分…内田梨瑚容疑者は「橋から落ちたかどうかは知らない。置いてきただけ」など、いぜん否認続ける 北海道旭川市
- ▼小学生の娘の“BB弾”から夫婦殺傷、控訴審は涙の謝罪で即日結審…「おまえか!どこに傷があるんだ!この野郎」などの“恫喝”主張も1審判決は懲役25年、玄関モニターに録画機能なく「反省なく、被告の証言は信用できない」