富士山「目隠しコンビニ」現在は幕なしに 外国人客は絶えず…日本が秘める“卵サンド”的ポテンシャル
“富士山コンビニ”は今
“富士山コンビニ”をめぐるトラブルも、こうした変化の影響かもしれない。富士山そのものは以前からの観光スポットだったにせよ、訪日客が周辺地域へ足を伸ばすフットワークの軽さも、こんな流れの影響はあるはずだ。 現地の現状はどうなっているのだろうか。10月末の午後、まず訪れたのは「ローソン河口湖畔店」である。“映えスポット”とされたローソンからは900メートルほど離れた店舗だが、店内の客のほとんどが外国人観光客で、驚いた。平日に訪問したため、日本人のビジネスパーソンが仕事中ということもあるが、それにしても、である。 街ゆく観光客に目を向けても、6割以上が、欧米人など非アジア系のようだった。中国の大型連休である国慶節明けというタイミングもあるにせよ、アジア中心だった訪日層が徐々に多様化しているのが実感できる。事実、今年9月のアメリカからの訪日客は19万1,900人。コロナ前の2019年同月は12万7,190人であり、伸び率は50.9%と急増していることがわかる。 次に「ローソン河口湖駅前店」へ向かった。店舗越しに富士山を撮影できるスポットとして話題になるも、客の道路への飛び出しやポイ捨てなどの問題が多発し、対面道路に黒い目隠し幕が張られる事態となった店である。ちなみに、8月に台風の接近にともない幕は撤去され、以降、再度の設置はされないままでいる。 敷地内の駐車場や路上には、4ヵ国語の注意喚起の看板が設置されていた。筆者が訪問した日は、雲で富士山が見えなかったこともあり、多くの外国人観光客がいたものの、混乱はまったく起きていなかった。大きなトラブルのない状況が続けば、目隠し黒幕を再度設置する必要はないように感じたが……。 ローソン河口湖駅前店でトラブルが起こりづらくなっている理由は、1キロほど西に行ったところにある「ローソン富士河口湖町役場前店」に、お客が分散されているのも関係があるのかもしれない。幕が貼られた当初、その代わりとして人が集まるようになった店舗である。 こちらの店は駐車場も広く、観光バスが次々と乗り付けていた。興味深かったのは、この店では富士山を背景に写真を撮った観光客が、お店で買い物をするという循環が起きていたことだ。