「依然として許されていない」麻生氏との会食が実現した岸田首相がハマる袋小路
2時間半ほど会食
岸田文雄首相は外遊から帰国直後の18日夜、自民党の麻生太郎副総裁と都内のホテル内で会食した。外遊前から、麻生氏は岸田首相の下してきたさまざまな判断に不満を抱いているとされてきた。今回の会食は関係修復のための場だったとされているが、実際はどうだったのだろうか。 【写真を見る】麻生氏のミシュラン3つ星鮨店での“デート”
「2人はThe Okura Tokyo内の日本料理店・山里で2時間半ほど会食しました。麻生氏は首相の“仕事の進め方”に大きな不満を持っているとされてきました。首相が突然言い出した派閥の解消や政倫審への自らの出席について、麻生氏に対しては事後報告で、その後に首相は説明して謝罪するものの形だけに留まることが続き、麻生氏としては“ナメられている”との思いが募っていたようです」 と、政治部デスク。 さらに、政治資金規正法の改正をめぐって、公明党が主張していたパーティー券の購入者に関する公開基準額「5万円超」を岸田首相が受け入れたことを麻生氏は看過しがたいと捉えているとされた。
ようやく実現
「麻生氏は以前にも公明党幹部を名指しして“がん”と講演で語るなど、アンチ公明・創価学会のスタンスを鮮明にしてきました。それだけに首相の公明への擦り寄りは納得できないものだったはずです。そういった麻生氏の考えを察知していた首相は外遊前から面会して説明すべくアプローチしていたものの、麻生氏には断られていたようです」(同) つまり、18日夜の場は、岸田首相にとって、ようやく実現した念願の会食だったというわけだ。 「会食時間は2時間半ですから、今後の政権運営も含めて幅広く話題になったようです。首相側は有意義なものだったと周辺に説明していますが、実際はそう単純なものではなかったと聞いています」(同) 首相と麻生氏との溝は深く、そう簡単には埋まらなかったということなのだろうか。
麻生氏を処遇する理由
「はい、そのようですね。首相としては麻生氏と会えただけでも有意義だったという評価になるのかもしれませんが(笑)。麻生氏のスタンスはとりあえず首相を立てて共に時間を過ごすが、首相の意向を受け入れるかどうかは別の問題だというものでした。会食の場では、これまでの不満を率直に語り、首相はそれぞれに説明・謝罪をしたようですが、麻生氏の思うような方向に方針が変わるわけではないので、麻生氏の不満が解消されることはなかったということのようです」(同) 首相時代に自民党を下野に導いてしまった人物を副総裁として処遇し続けること自体、永田町の常識だとしても、市民感覚としては首をかしげたくなる部分もあるが……。 「内閣支持率がそれなりに高いレベルにあった時期ならば、麻生氏を“うるさい長老”としてお役御免にすることもできたのでしょう。が、そういった状況にはなっておらず、9月の総裁選での再選を悲願とする首相としては、党内で解消された派閥を唯一まとめている麻生氏と距離を置くことは自滅への道ということなのでしょう。確かに国民には共感されない構図でしょうね」(同) そもそもいまどき、仕事の話を超一流ホテルの高級料理店でしている時点で共感を失う可能性があるのだが、そんなことに思いを馳せる余裕はないのだろう。 デイリー新潮編集部
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